「給与基準がないと採用しにくい」「評価制度がないため適切な指導ができない」「制度が古くなってきたので新しく一新したい」こうした理由から人事制度の構築を検討する企業は非常に多く存在します。
しかし、必要性やトレンドだけを重視して制度を作ると、予期せぬ弊害を生み、結果として形骸化してしまいます。人事制度を成功させるには、どのような点に注意すべきなのでしょうか。今回は、人事制度の効果を最大化する3つの重要ポイントと、ユアパトが実際に伴走した10人規模のベンチャー企業での人事制度設計プロセスをご紹介します。
なぜ必要?人事制度設計が重要な理由

人事制度は、主に「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つで構成されます。
単に報酬を決める枠組みではなく、社員が持てるパフォーマンスを最大限に発揮するための重要な仕掛けです。それと同時に、「経営がどんな行動や成果を評価・投資対象とするか」という強いメッセージでもあります。そのため、会社の理念や経営戦略と連動させ、「どんな組織を目指し、どんな人材を求めるか」を明確に揃える姿勢が欠かせません。
例えば、カスタマーサポートの評価基準に「対応件数の多さ」を組み込んだとします。そうすると、社員は業務効率化やFAQの充実を優先するようになります。一方で「顧客満足度」を最重視した指標にすると、ファンを増やす施策や丁寧なフィードバックの回収へと行動が変化します。
このように、制度の作り方ひとつで社員の行動習慣や組織風土は大きく変わります。人事制度は経営戦略を推進する強力な戦術といえます。
形骸化しないために!人事制度設計で気を付けるべき3つのポイント
では、形骸化させず効果を最大化するにはどうすればよいのでしょうか。押さえるべきポイントは以下の3点です。
ポイント1:制度の目的を明確にする
人事制度は強いチームをつくるための手段でありゴールではありません。「何を目的として制度をつくるのか」「どのような成果を生み出したいのか」を明確にした上で制度設計に取り掛かる必要があります。さもなければ、効果が発揮されず、組織の負債になるリスクもあります。
企業の理念や戦略に込めた想いを制度に反映させて初めて、社員のモチベーションやパフォーマンスを引き出せます。まずは「何のために制度を作るのか」という目的の言語化から始めましょう。
ポイント2:メッセージングに重きを置く
経営層が描く未来や課題感は抽象度が高く、現場社員との間に認識のギャップが生じやすい傾向にあります。結果、社員から「言っていることとやっていることが違う」と誤解されやすくなります。こうした両者のギャップを埋めるためにメッセージングに重きを置く必要があるのです。制度を通して実現したい世界を言葉にし、伝える。経営の意図が伝わることで、社員から目的達成に向けた行動を引き出せて初めて人事制度が機能したといます。
ポイント3:制度は運用が8割!完璧を求めすぎず適宜チューニングを
変化の激しい現代において、完璧な制度を一度で作り上げることは不可能です。組織の拡大や事業フェーズの変化に伴い、必要とされる制度も常に移り変わります。「制度は運用しながら育てるもの」と捉え、状況に応じて柔軟に改定するスタンスを持つことが大切です。

事例:人事制度設計の進め方
ユアパトでは、先ほどの制度設計のポイントを踏まえお客様の支援を行っています。お客様によって目的・スコープ・期間、工程など課題解決への進め方は千差万別。今回は、「社員数10人規模のベンチャー企業」の事例を取り上げます。現場でどのように課題を整理し、形骸化しない制度を作り上げたのか。その具体的な支援プロセスをご紹介します。

STEP1 目線合わせ
まず、企業理解を深め、問題への共通認識を持つことから始めます。キックオフでは、インセプションデッキ(※)を用いて、「なぜここにいるのか(プロジェクトの目的)」「何のためにやるのか」「夜も眠れない問題(問題・課題・障壁)」などの質問を通してお客様の課題を言語化し、目線を合わせます。

※インセプションデッキ:プロダクト開発を始める前に、プロジェクトのミッションやビジョン、状況や背景についての共通認識を作りあげるためのツール(問い)。
※インセプションデッキを用いる理由についてはこちらの記事もぜひご覧ください。

会社が違えば文化も使う言葉の意味合いも変わります。、共通認識を持つことが非常に重要な作業となります。今回のお客様は以下の問題と課題を挙げていました。これらの問題解決のための障壁もいくつか挙げてもらい、具体策を示していきます。

また、今 “着手すべきタスク” と 着手しないタスク” に分けました。やるべきことを明確にすることで、時間を有効活用できるようにします。まず制度の大枠をつくり、運用しながら変更できる余裕を残すようにしています。

STEP2 ファクト収集
お客様課題のボトルネックを特定し、適切な提案をするために事実確認を徹底的に行います。このプロジェクトでは、評価制度にフォーカス。 “誰のどのような行為を評価するか” や “理想の組織図” などの “人材マップ” を書いてもらいました。そして、そこで得た気づきと現状とのギャップを言語化しました。
他にも過去の “評価事例” や “サービスのプロジェクト体制(プラン毎の内容、人権費、利益率など)” を共有してもらいました。過去の評価基準を言語化するためです。こうして、お客様の会社の中で起きていることを俯瞰して捉えていきました。

STEP3 優先順位決め
実行タスクが決まったら、次に取り組むべき優先順位を設定していきます。自社内だけで進めると「あれもこれも今すぐやらなければ」と焦り、目移りしがちです。知見を持つ第三者が介入することで、真っ先に取り組むべきタスクが明確になります。そのため、優先順位の選択で迷うことはもうありません。今回は、組織づくりの基礎となるスコープ定義を最重要項目に設定しました。

STEP4 短期のゴール設定
2週間単位で振り返りを実施します。短いサイクルでのゴールを設定・達成することで課題への解像度を高めました。着実に解決への道筋を立てていきます。組織課題は魔法のようにパパっと解決することはできません。愚直に凡事徹底して課題に向き合い、クリアしていくためにユアパトは伴走していきます。

STEP5 宿題を通じてフィードバック
お客様のやるべきことを明確にし、適宜宿題を出しプロジェクトを進めます。最終フェーズの社員へのスピーチ作成に近づくにつれ、聞きたいことや確認したいことも多くなりました。そんな時もご安心ください。チャットツールで少しのことでも連絡を取れるため、不安を解消しながら進めていけます。
STEP6 描く未来を手繰り寄せるストーリー(スピーチ)を作る
人事制度は経営からのメッセージでもあります。経営の発言と整合性を取り、事業戦略にアラインさせる必要があります。加えて、メッセージを送る側も受け取る側も「ヒト」なので、情理を意識しすることが大切です。今回のお客様は社員数も10人と少なくニュアンスや雰囲気で情報を伝えることもできます。けれども、将来のスケールを見越して抜かりなくメッセージングを作っていきました。

お客様の声
「社員が自己成長を続けるにはどうしたらいいのか?」。そんな悩みに真摯に向き合ってくれたのがユアパトさんでした。最初に相談した時は、課題が山積みでどこから手をつければよいかもわかりませんでした。でも、目的をブラすことなく、課題解決に向かってプロジェクトを推し進めてくれました。また、制度設計だけでなく、運用面にも着目し、社員への効果的な伝達方法まで提案してもらえました。おかげで、形骸化しない人事制度を構築することができたと感じています。「今後困った時にはまた相談に乗って欲しい」そう強く思いました。
強い事業・組織をつくりたい方へ
ポイントを踏まえても組織運営は変数が多いため、自社にフィットした人事制度をつくることは至難の業です。制度設計に関わる方は忙しい仕事の合間を縫って知識を持つ知人に相談し、SNSやネットで情報を収集していることでしょう。「時間がない」「自社課題に必要な打ち手がわからない」「組織づくりに明るい相談相手が欲しい」そんな時は一度、ユアパトに相談してみませんか?
ユアパトは、事業成長に必要な組織の在り方を定義し、経営のコアメッセージ策定を基軸に、強い会社つくりを徹底的にサポート。メッセージングにこだわり、会社の経営戦略をアラインさせ、社員の行動を変えていきます。そして、組織にまつわる困りごとを採用、労務、教育とカテゴリーに分けずワンストップに対応します。プロジェクト進行中にイシューが変化たとしても長きに渡りナビゲートすることができます。
私たちがあなたの会社のコンパスとなり、ありたい未来を手繰り寄せます。ともに組織課題を攻略しワンランク上の組織・事業へとレベルアップしていきませんか?




