この記事は2022年9月14日に弊社森数がVoicyでお話した#31 評価制度ハックについて語る回(ゲスト:さかいふうたさん)を前編と後編の2本立てで記事にしたものです。
評価制度の在り方について、評価制度をハックするメンバーとマネージャーという2つの立場にフォーカスを当て、ゲストの株式会社Momentor代表のさかいふうたさんと森数がありのままに意見交換をしています。
前編はコチラ。
プロフィール

評価制度をハックするマネージャー
マネージャーが保身に走ると組織破壊者になる
森数
マネージャー側も評価制度をハックしているところを目撃したことありますか?
さかい
自分が陥りそうになったという話でしたらあります。本当は昇給させるべきではないメンバーを昇給させるケースです。結局、現場はマネージャーの裁量に任せられる部分も大きく、マネージャーが評価するなら優秀なんだなって空気が作られやすいんですよね。
マネージャーも360度フィードバックを気にしている人が多いように思います。メンバーからのフィードバックに備えて、良い評価をもらえるよう、八方美人な振る舞いをする人もいます。だからといって、メンバーを過大評価したり、本来よりも良い評価をすることはやってはいけないなと思います。
マネージャーがメンバーからのフィードバックや評価を気にしてしまうと、事業戦略に紐づいてなくても、メンバーの企画や提案にGoサインを出してしまいます。個性をあるがままに活かす、という大義名分があるから、メンバーのやりたいようにやらせてしまいます。自由にやらせた手前、最後の評価面談で「これやっても意味なかったね」とメンバーに言えなくなってしまいます。
そのせいで、「推進力がある」「突破力がある」「意思がある」といったように、メンバーの評価を上乗せして昇給させるという失敗をやりがちだと思っています。
こういった評価を下されると人件費的にも後続のマネージャーにとっても非常に困るんですよね。その後、そこから昇給させられなくなってしまうので。一見、非評価者からすると、昇給させてくれたから自分にとっていいマネージャーだなと見えるんですけど、それは評価者ではなく、組織破壊者だなって僕は思います。
森数
給与が上がって嬉しいから一時的にやる気が出たりしますが、外的な要因だから長期間継続しないですよね、一瞬上司が良くは見えますよね。
さかい
一瞬よく見えるけど結局意味はないんですよね。基本的には誰にも嫌われたくないっていう気持ちもわかるんですけど。評価は正しく行えば成長支援に繋がりますし、事業成果とか組織強化に繋がると思います。
森数
そうなんですよね。良い評価を付ける方がマネージャーも楽ですし。ネガティブフィードバックが苦手でやりたくないっていう心理も働くのかなとは思います。
さかい
そうだと思いますね。良い評価をするのが楽ですし。360度フィードバックの評価が高かったらそのマネージャー自身も、成果上がりやすくなるし育成力ある人と周囲に思ってもらえますし。やっぱりそういう力学が働いてんじゃないかなと思います。
森数
確かに。人気者投票みたいになりなりがちですよね360度評価は。
さかい
そうなんですよ。360度フィードバックを使いこなすのは難しいと思っています。本当に現場がギスギスしてたら360度フィードバックって批評めいたフィードバックは逆に上がらなくなります。だからマネージャーを周囲からどう思われているかに向かわなくさせる道具としての作用もあると思います。
評価=賃金決定ではないという前提が必要
森数
評価は賃金を決めるためのものではないという前提に立てるかという視点が大切ですよね。
さかい
だから、副業やパラレルキャリアが流行るのは良い傾向だと思います。評価ハックをしてしまうのは、そこにしか収入がないからとか、ここで評価されなかったら、出世できなかったらという焦燥感によるものなんですよね。それってその人の本来の良さを失わせてしまっている可能性があります。
森数
ぶら下がり社員になってしまいますよね。確かに。この会社の中で評価されなければいけないんじゃなくて、市場や社会における自分の見え方や価値に気付くことが大切ですよね。
さかい
仕事の報酬はもちろん金銭報酬とかありますけど割り切った方がいいと思っています。この会社では、金銭ではなく経験を買いに来たって思えば、昇給率が低いと思っても転職したり副業してより稼げばいいと思えるし、一つの会社からの収入だけに頼らず、複数のポートフォリオを築いて全体でバランスしていく方が心身ともに健康でいられると思います。
森数
確かに。もうここしかないってなるとしがみつくしかないけど、いくつか収入を得られる先があってバランスが取れると、よりヘルシーになりますよね。
さかいふうた
そうなんです。そうすると、美保さんみたいに100社からオファーが来るようになるで。
森数
よく読んでるw
※さかいさんが読んでるnoteはコチラです。気になる方は森数美保のnoteもご一読ください!
評価はコミュニケーションが肝
森数
制度がいくら優れてても駄目で、カッチリ決まってて人によってブレをなくす方が良いという考え方もあるじゃないですか。でもそうではなく、制度にバッファはあった方が良くて、コミュニケーションが大事というところに帰結しますね。
さかい
そうですね。フレームとして設けるべき点は、全社貢献性の有無のみで良いと思います。全社貢献の期待値をグレードにした場合、一事業のKPIを任せられる、KGIを任せられる、複数事業を任せられる、経営のインパクトを任せられる、っという段階に分けたり。専門性で突破する人がいてもいいし、マネジメントとかジェネラリストで突破する人がいてもいいと思います。そういうフレーム自体もあっていいと思いますけど。評価制度において思考すべきは、成長支援という点で、できるだけ大きな事業成長を生み出してくれる人材に育てるというスタンスでいればいいと思うんですけどね。
森数
そうですね。この放送を聞いてる人は評価する側の人もいれば、評価される側の人もいると思います。評価を決める場とか賃金を決める場じゃないという意識を持つだけでも、少し変わった面談ができると思います。
まとめ
評価されるために働くのって嫌だなと思っていたのですが、評価制度と報酬の制度が結びついてる限り、難しい部分も正直あります。それでも、「評価面談ってなんのためにあるんだっけ?」ともう一度考える機会を設けるのも良いかもしれません。最近1on1や評価面談のやり方を相談されることも増えています。もし、悩んでいる方がいればお気軽にご連絡ください。さかいさんに問い合わせてみても良いと思います。
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