変化の激しい事業フェーズの中、採用実務に追われ戦略的な人事活動に時間が割けない——。
そんな状況を打破するため、株式会社クラッソーネ様(以下、クラッソーネ)は、外部パートナーとの連携によって採用体制の抜本的な見直しに踏み切りました。
当時、採用に関わる社員はたった2名。限られたリソースの中で、採用の“質”と“量”をどう両立し、再現性ある仕組みづくりをどのように実現したのか。
人事の宮田ゆかり様、守屋美成様、そして伴走したYour Patronum(ユアパト)の佐藤美夏による対談を通じて、その舞台裏に迫ります。
業界構造を見直す――クラッソーネが挑戦するスマート解体
守屋様
クラッソーネは、「豊かな暮らしで人々を笑顔に」をミッションに掲げる、不動産・建設領域におけるテック企業です。
従来の不透明で属人的な解体業界において、施主様と解体工事会社様をつなぐ「プラットフォーム事業」を通じて、公平で納得感のあるマッチング環境を提供してきました。さらに現在では、解体工事を自社で請け負い、サプライチェーン全体を管理する「スマート解体事業」を展開。多重下請け構造という業界の構造課題を是正し、高品質・適正価格の工事を実現する新たな仕組みを構築しています。
こうした事業転換にともない、求める人材も大きく変動しました。採用人数の増加に加え、スピード感を持ちながら難易度の高いポジションにも対応することが求められたのです。持続可能で、かつ拡張性のある採用体制構築が急務となっていました。ただ、当時の体制は正社員1.5名(一部分の業務を業務委託1名が担当)のみ。候補者対応で精一杯で、母集団形成や数値管理まで手が回っていませんでした。
「このままではいけない、拡張性ある組織をつくる必要がある」――そう考え、外部パートナーの力を借りる決断をしました。
「作業代行」ではなく、「意図を汲み、共に考える」パートナーを求めて
宮田様
過去にRPO会社へ業務を依頼していたことがありましたが、その際は採用の一部の業務を切り出してご支援いただくスタイルでした。
体制の整った企業であれば、それだけでも十分に機能する場面は多いと思います。ただ、仕組みとしてPDCAが回り、戦略にも時間を確保できる採用体制を築きたかった当時の状況にはフィットしないと感じていました。だからこそ今回は、「作業」ではなく「業務の目的を理解したうえで、主体的に動いてくれる」パートナーを探していたのです。
そんな時に思い出したのが、森数美保さんでした。以前、名古屋の勉強会でお会いした際、「とても優秀な方だな」という印象が強く残っていたんです。ユアパトが採用支援を行っているかどうかは正直わかりませんでしたが、「実績と信頼のある方にお願いしたい」という思いで、迷わず声をかけました。
さらに、当社CFOの細田がユアパトの佐藤さんと面識があり、「信頼できる人だ」と高く評価していたことも後押しに。こうした“二重の信頼”が重なり、今回のパートナーシップがスタートしました。
スカウト送付数5.2倍、応募数2倍──その裏にあった「型」と「自走力」
守屋様
宮田から、以前依頼していたRPO会社の話を聞いていたので、ユアパトにどのように依頼すればいいか悩んでいました。しかし、その不安はすぐに払拭され、期待以上の成果につながりました。
①母集団形成:スピード×ボリューム×クオリティを妥協しないスカウト運用
守屋様
まず驚いたのがスカウトのスピードとボリュームです。ビズリーチのスカウト送付数は5.2倍に増え、応募数も約2倍に。また、単に通数が増えただけでなく、スカウト文面のクオリティも非常に高かったことに驚いたことを今でも覚えています。
スカウトの訴求に関しても、弊社以上に情報収集をし、「こういうアプローチはどうでしょうか」といった提案を、非常に丁寧に、かつ論理的にまとめてくれました。特に、採用が難航するポジションに対して、数多くの具体的なアイデアをご提示いただけたのはとても助かりました。
②PDCAの型化とナレッジの定着
守屋様
もともと弊社では、週次でPDCAを回す体制がうまく機能していませんでした。ユアパトが参画したことで、週次でデータを出して分析し、仮説を提示。爆速で”型化”が進んでいきました。
週ごとの数値を振り返ることで、変化をいち早く察知し、対応策を考える、というオペレーションを早期に確立することができました。私自身も長年採用に関わってきましたが、PDCAの運用方法や数値の扱い方など多くを学ばせてもらいました。
宮田様
ユアパトが持つフレームワークとナレッジによって、肌感として感じ取っていた採用状況が具体的な“仕組み”として可視化されたのが大きな変化でした。
これにより、状況を上長にすぐ報告できる体制が整い、今では社内でPDCAを回す手応えを感じています。採用実務の実行にとどまらず、ノウハウを社内に定着させてもらえた点も非常に価値が高かったです。
③凡事徹底:当たり前をやり抜く姿勢が信頼に
宮田様
私自身は事業転換に伴う人事制度の改定・運用や組織課題の対応から採用まで幅広く業務を抱えており、スカウトを毎日コンスタントに送ることが難しい状況でした。そんな中、佐藤さんが入り、地道にコツコツとスカウトを送り続けてくれたことが、採用活動を前進させるうえで、とても助けになったと感じています。「当たり前のことを確実にやる」姿勢が非常に頼もしく、心強かったです。
④高い解像度と自走力:少ないインプットで最大の成果を発揮
守屋様
私たちが伝えたいことを最小限のインプットで汲み取り、的確にキャッチアップして動いてくれるので、「もはや社内メンバーよりも理解してくれているのでは?」と思うことすらありました。
また、言われたことをこなすのではなく、「この要件なら市況的にこうした方がよい」といった提案を、戦略から運用レベルまで幅広くいただけたのも非常にありがたかったです。
やりたかったことが驚くほどのスピードで実現され、当初感じていたRPO会社への不安は見事に裏切られました。着実に採用が改善されているという実感があり、それを支えてくださっているのは、佐藤さんの提案力と行動力だと強く感じています。
業務の“属人化”を解消──不在時にも止まらない採用オペレーションを確立
守屋様
以前、私が2週間ほど業務を離れることになった時期がありました。ちょうど転職市場の動きが活発で、注力しているポジションの採用を止めたくない、という強い思いがある中での離脱。
当然、不安もありましたが、実際に引き継ぎが始まってみると、必要最低限のやり取りでスムーズに移行でき、業務も一切止まりませんでした。それが可能だったのは、佐藤さんが日頃から業務マニュアルや管理フローを整備し、オペレーションの型化を丁寧に進めてくれていたからです。
ユアパトが支援に入る前は、書類選考や候補者対応は、その場その場で考えながら対応している状況で、テンプレート化もされていませんでした。しかし、佐藤さんは一つひとつの業務を丁寧に整理し、「こういう場合はこう対応してもよいですか?」と逐一確認しながら、業務を標準化してくれました。
気づけば、私が抜けても採用が止まらない、再現性のある採用体制ができあがっていたのです。これは本当に印象的で、非常に助けられた出来事でした。今後採用チームに新メンバーが加わる予定ですが、すでに業務が型化されているため、オンボーディングの負担が大幅に軽減される見込みです。
ハイレイヤー採用の成功──その裏にあった“解像度の高い理解と経験”
宮田様
CPOや事業開発といったハイレイヤークラス、さらには注力ポジションであるセールス職の入社を実現できたことは、経営層からも高く評価されています。いずれも難易度の高いポジションでしたが、弊社が求めるレベルの母集団を形成でき、ダイレクトリクルーティングによって内定に至ったことは非常に大きな成果でした。
特にハイレイヤー採用においてありがたかったのは、佐藤さんが私たちの採用要件や背景を高い解像度で理解し、行動してくださった点です。ハイレイヤーの採用は、レジュメだけでは判断が難しく、実際に入社して時間の経過とともに、「この採用は成功だった」と実感できることが多いものです。そんな見極めの難しさがある中で、佐藤さんがハイレイヤー採用に関する豊富な経験と知見を持って支援してくださったことは、大きな安心材料でしたし、今回の採用成功における重要な要因だったと強く感じています。
「採用だけで手一杯」な企業に──組織全体を見渡す余白を
守屋様
今でこそ2.5名体制ですが、当時のように人事1〜2名で回しているスタートアップや成長企業にとって、ユアパトの支援は非常にフィットすると思います。
佐藤さんは、ただ業務をこなすだけでなく、「なぜこの業務が必要なのか?」という目的意識を持ち、常に状況をキャッチアップしてくれました。そして、週次のタイミングで仮説を提案してくださるその姿勢が、クラッソーネの採用プロセスの型化・定着につながったと感じています。
宮田様
採用実務は、やろうと思えばいくらでも時間を取られてしまう領域です。私自身、過去に“採用に埋没”し、視野が狭まり、本来人事責任者として注力すべき経営や現場に伴走しながら組織人事戦略を推進することに手が回らなくなった経験があります。
でも、ユアパトが伴走してくれることで、実務から解放され、より本質的な人材戦略や組織づくりに時間を割ける余白ができるようになりました。採用フェーズやチーム体制の変化に応じて、支援の形も柔軟に変えられる。採用実務にとどまらず、組織づくり全体の相談ができるのもユアパトならではの強みです。
佐藤さんとご一緒してからは、あの“採用に埋没していた日々”から脱却できたと実感しています。「もっと早く出会っていたかった…」と、心から思います。
採用数が多く、候補者対応に忙殺されがちなスタートアップや、1人目人事の方には、ユアパトのような“戦略的に並走してくれる採用支援”を本気でおすすめしたいです。
まとめ
採用において「成果を出すこと」と「仕組みを整えること」の両立は、決して容易ではありません。特に変化の激しいスタートアップや成長企業では、目の前の業務に追われ、戦略が後回しになることも少なくありません。
採用に埋没するほど全力を投じる。私たちは、そんな採用担当者の姿勢を心から尊敬しています。そして、その挑戦に寄り添い、力になりたいと本気で思っています。
ユアパトの支援は、成果だけにとどまらず、再現性ある“型”を共に作り上げていくものです。採用は、ひとりで抱え込むものではありません。クラッソーネ様との事例は、そのことを強く物語っています。
「もっと早く出会っていればよかった」——そんなふうに思う前に。
ぜひ一度、貴社の話を聞かせてください。組織を強くする糸口がみつかる時間をお約束します。