「応募が来ないから、WantedlyYOUTRUSTを追加しよう」
「エージェントからの紹介が減ったから、もう3社契約しよう」

そんなふうに、採用チャネルを増やし続けていませんか?

採用チャネルを増やすこと自体は、悪いことではありません。新しい媒体やエージェントは、新たな候補者との接点を増やしてくれます。

けれど、もしここ半年ほど「手段の追加」を繰り返しているけれど、採用がうまくいっていないのであれば、一度立ち止まってみる価値があります。うまくいかない原因は、採用チャネルの質ではないかもしれないからです。

実は、採用チャネルが増えるほど、本来見つけるべき採用課題がデータの中に埋もれ、「何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのか」が見えにくくなります。

今回は、「採用チャネルを追加すると、なぜ採用課題が見えづらくなるのか」という構造を紐解き、組織の資産となる「自社の勝ちパターン」を作る方法をご紹介します。

焦りが生む投資の分散と、組織が陥る「3つの弊害」 

採用がうまくいかないと、「できることは全部やろう」と考えがちです。しかし、「なぜ採用できないのか」が分からないまま、手段だけを増やすと、投資もリソースも分散し、本来見えるはずだった採用課題が見えなくなってしまいます。

その結果、組織は以下の「3つの弊害」に陥ります。

① 見立てが割れる(データ混在と一元管理のハードル)

複数の採用チャネルを並行して運用するとデータが混ざり、課題が見えづらくなります。

例えば、以下のような採用データがあったとします。

全体の合算データ:応募50➔面談13➔1次5➔最終2➔内定1➔承諾0
採用チャネルA:応募10➔面談8➔1次5
採用チャネルB:応募40➔面談5➔1次0

この状態で、合算データだけを見て「応募が足りないから、媒体を追加しよう」と判断するのはお勧めできません。本当に打つべき手は採用チャネルの追加ではなく、採用チャネルBは応募が多いのに面談に繋がらない理由の特定だからです。

求人票の内容なのか、スカウト文面なのか、ターゲット設定なのか。それとも、媒体と自社の採用ターゲットが合っていないのか。原因を一つずつ検証することで、自社だけの採用ノウハウが蓄積されていきます。こうした改善を試みてもうまくいかなければ、「自社に合わない採用チャネル」と判断できます。そして、選考移行率の高い採用チャネルAへリソースを集中させる意思決定の根拠となります。

反対に、採用チャネルごとのデータを見ないまま意思決定をすると、「媒体が悪い」「面接官の問題だ」「もっと応募を増やそう」と、人事や経営者の経験や勘をもとに議論する状態になってしまいます。

② 根本原因が後回しになる(手段の目的化と優先順位の歪み)

経営層も現場も「チャネルを増やしたから、成果が出るだろう」という期待感に引っ張られやすくなります。その結果、本来最優先すべき既存チャネルで辞退や見送りが起きている原因特定が後回しになります。 

そして、新規媒体の立ち上げやエージェントとの連絡に時間と労力を奪われ、既存求人の原稿修正や面談プロセスの見直しといった「成果に直結する施策」に手が回らなくなってしまいます。 

③ 候補者体験が悪化する(リソース分散による対応の質低下)

専任の人事が1名以下の企業では、日々の業務が常に逼迫しています。

そこに新しい採用チャネルを追加すると、管理画面の確認やスカウト作成、各社への連絡など、オペレーションが一気に増加。人事が目の前の業務をこなすだけで手一杯になると、最も重要な「候補者との接点」にしわ寄せが生まれます。

候補者への返信が遅れる。プロフィールを十分に読み込めないまま面談に臨む。候補者一人ひとりに合わせた魅力付けができなくなる。その結果、コストと工数をかけて集めた優秀な候補者ほど、「この会社は自分を大切にしてくれない」と感じて他社へ流れてしまいます。

チャネルを増やしたことで、「候補者体験」が損なわれ、結果として採用成功から遠ざかってしまうのです。

採用チャネルの選択と集中|採用成功を導く3ステップ 

では、複数の採用チャネルを動かしているにもかかわらず成果につながらない状態から脱し、自社の勝ちパターンを作るには何から始めればよいのでしょうか。明日から取り組める、3つのステップをご紹介します。

ステップ①:採用チャネルごとの「役割」を明確にする

まずは、今契約している求人媒体やエージェントを書き出し、「どの職種の・どのレイヤー(ジュニア/ミドル/ハイクラス)を採用するためのものか」を1行で定義してください。 

「知名度があるから」「以前使っていたから」という理由だけで、全職種・全ポジションで使っている企業は少なくありません。しかし、採用チャネルごとに担う役割を明確にすることで、「どの採用チャネルで、どの人材を獲得するのか」という戦略が見えるようになります。

この役割整理が、その後の効果検証や改善を行うための土台になります。

「狙うべきターゲットの解像度が上がらない」「現場との目線合わせがうまくいかない」とお悩みの方は、こちらの要件定義のステップも参考にしてください。 

 ■あわせて読みたい(採用戦略編)

ステップ②:「定量データ」の定義を揃え、採用チャネルごとの選考移行率を可視化する

各求人媒体・エージェントで異なる「応募」「面談」「選考」の定義を自社基準で統一します。(例:カジュアル面談は『選考前』、1次面接からを『選考内』とする、など)。 そのうえで、データを媒体別×職種別に整理し、応募から内定までの選考移行率(歩留まり)を比較できるようにしましょう。

大切なのは、全体の合算データを見ることではありません。採用チャネルごとに比較できる状態をつくることで、どこにボトルネックがあるのかが客観的に見えてきます。

採用チャネル管理シート(例)

ステップ③:「定性データ」を掛け合わせ、離脱原因を特定する

数字の滞りが見えたら、次はその理由を突き止めるために現場を巻き込みます。 面談や面接で離脱が起きている場合、現場の面接官から「なぜ辞退された(あるいは見送った)と思うか」の定性データをヒアリングします。 「定量(どこで詰まっているか)」に「定性(なぜ詰まっているか)」を掛け合わせることで初めて、「求人原稿のターゲット設定がズレているのか」「面談での自社の魅力付けが弱いのか」のあたりがつき、次の一手を意思決定できるようになります。

【30秒で自己診断】採用チャネルを増やすべきか / 今ある採用チャネルを磨くべきかのチェックリスト

現在の採用チャネルで「今できる改善」を徹底的にやり切る。それでも母集団の限界が見えてきたとき、新しい採用チャネルの追加や入れ替えは、初めて根拠のある「次の一手」になります。

自社が今、本当に採用チャネルを拡張すべき局面なのか、客観的に状況を判断するための3つのチェックリストです。

【30秒で自己診断】採用チャネルを増やすべきか / 今ある採用チャネルを磨くべきかのチェックリスト

もし、上記のチェックリストで「NG(まだ磨ける段階)」に1つでもチェックがついたなら、新しい採用チャネルを追加する前に「プロセス全体の整理とデータ分析」を行うことをお勧めします。既存の採用チャネルでも成果が見込める可能性があるからです。

組織を前に進めようとする「前向きな熱意」は決して間違いではありません。だからこそ、採用チャネルを増やして解決するのではなく、求人媒体・エージェント・現場面談を含めた採用プロセス全体の役割を構造化し、自社にとっての「採用の成功パターン(型)」を蓄積していく。それこそが、結果として採用成功への最短ルートになります。

実例:採用手段の最適化で採用成功を主導したKUROFUNE様のケース

特定技能の外国人と企業のマッチングプラットフォームを展開するKUROFUNE株式会社様は、事業拡大に伴い、人事責任者(ハイクラス)から、営業、行政書士、登録支援事業責任者候補、さらには事務スタッフまで、多種多様なレイヤーの職種を同時に募集する局面を迎えていました。

当然、すべての職種を一律の採用チャネルで集めることは不可能です。だからといって手当たり次第に採用チャネルを増やせば、運用リソースがパンクしてしまいます。そこでユアパトは、職種ごとの特性に応じた「採用チャネルの明確な役割分担」を徹底しました。 

  • ハイクラス向けにエージェントを厳選: 自社のビジネスモデルへの理解が深いエージェントを3〜5社に「絞って」開拓。
  • ミドル・メンバー層や事務職には無料求人媒体を併用: すべての採用チャネルに費用をかけるのではなく、幅広く母集団形成できる「engage」などの求人媒体も同時並行で開設。
  • 既存媒体の徹底的なアップデート: 並行して、既存媒体の求人も「今本当に欲しい具体の要件」に合わせて、原稿から運用プロセスまで根底から磨き直しました。

役割を分担させた結果 

人手不足の組織でもリソースがパンクすることなく、各施策の解像度が大幅に向上。結果として、各職種でスムーズな採用が進んだだけでなく、役割を絞って運用を磨き直したWantedlyから、最重要ターゲットであった人事責任者の採用にも成功しました。

採用チャネルを増やすことが悪なのではありません。「今、どの職種の、どのレイヤーを狙うために、どの採用チャネルをどんな目的で掛け合わせるか」という設計図があるかどうかが、成否を分けます。

(参考:KUROFUNE株式会社様の導入事例インタビュー

 ■あわせて読みたい(エージェントコミュニケーション編)

※事例のようにエージェントを厳選した上で、さらに自社の紹介数を最大化するための「具体的なコミュニケーションの型」を解説しています。 

社内で採用チャネルの最適化・データ一元化を進める際ぶつかる「3つの課題」 

ここまでお伝えした「3つのステップ」や「採用チャネルごとの役割分担」は、自社の採用力を高める上で非常に効果的です。しかし、いざこれらを社内で本格的に進めようとすると、多くの企業が同じような壁に直面します。

  • 「データの集計と分析」に時間を割きづらい:日々の選考対応やスカウト送信などのルーティン業務に追われ、まとまった時間を確保できません。各媒体の管理画面からバラバラのデータを抽出し、一つの分析シートに落とし込む作業自体が、最初の高いハードルとなります。 
  • 現場の面接官から定性データを継続的に集める仕組みが定着しない:「辞退の理由を細かくヒアリングしてほしい」と面接官に依頼しても、通常業務の忙しさから入力が漏れてしまったり、すれ違いが起きたりと、社内を巻き込んだ運用の仕組み化には根気がいります。
  • 経営層と人事の間で、客観的な「目線合わせ」が難航する:「今は採用チャネルを増やすより、既存チャネルの改善が最優先」だと分かっていても、社内全体が納得できる明確なデータや判断軸を提示できないと、周囲との合意形成は簡単ではありません。

このように、重要性は理解していても、日々の採用活動を走りながらこれらすべてを社内リソースだけで設計し、関係者を巻き込んでいくのは、決して簡単なことではありません。

ユアパトは採用状況の整理・分析から伴走します

「自社だけでこれらを整理し、仕組み化まで持っていくのはパワーがかかる」と感じる企業様のために、私たちは外部の代行業者ではなく「採用チームの一員」として現場に入り、以下のステップから支援を開始します。

  • 採用チャネル(求人媒体・エージェント)ごとの役割整理と最適化
  • 職種別・採用チャネル別の選考移行率(歩留まり)の可視化と一元管理体制の構築
  • 経営層・現場・人事が同じデータを見て意思決定できる運用の仕組み化

私たちが目指しているのは、一時的に採用を成功させることではありません。現場ごとに属人化しがちな採用活動を、誰もが同じ判断基準で改善できる仕組みへと変え、貴社の中に「自走できる採用の型」を残すサポートをします。

「データを見る以前に、何をデータとして集めるべきか分からない」
「まずは自社の採用チャネルの役割定義を一緒に作ってほしい」

という方は、まずは無料の壁打ちから、現在の採用状況を一緒に整理してみませんか?