採用と組織課題は、どちらも密接に関わりを持ち、切っても切り離せないテーマです。「どちらに注力すればいいのか?」と頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか?
ユアパトの支援先であるmederi株式会社(以下、mederi)もこうした課題に悩む企業の一つでした。設立から6年で45名にまで成長を遂げたスタートアップがユアパトとともに採用と組織課題にどう向き合い、優先順位を付け、解決策を見出したのかをご紹介します。
今回はmederiの人事責任者 I さんと人事担当者 W さん、そしてYour Patronum(ユアパト)代表の森数美保と佐藤美夏に提供しているサービス(組織アドバイザリーと採用支援)についてお話を聞いてきました。
社員数3→45名!「愛でりあう社会」を目指すスタートアップ
当社のビジョンは、「誰もが愛でりあえる社会へ」です。もともとは妊活プロダクトを展開していましたが、2022年からオンライン診療でのピル処方サービスも開始しました。現在は美肌の医薬品を含むオンライン診療のサービスを拡大しており、AGA医薬品など男性向けのサービスも展開しています。
6年前には社員が3名ほどだったのですが、そこから組織が拡大し、今では45名ほどになりました。現在も、事業の急成長に合わせて積極的に人材を採用しています。「愛でりあう」というビジョンはお互いを尊重するという意味なので自分がやりたいことだけではなく、相手がやりたいことも尊重できるかどうかを重要視しています。
急成長に伴う採用と組織のジレンマ
I さん
人数の増加に伴い、組織においては様々な問題がありました。コーポレート立ち上げフェーズでもあり、まずは総務・労務基盤や会議体の整理・アカウンティング・ファイナンスを中心に整えていました。その中で、人事的な観点で自組織を客観視できていない感覚に陥っていっており、「仲間集めと組織開発の両面に手を打たなければ」と焦っていました。社内でも以下の2つの声が上がっており「具体的な手を考えなければいけない、けれども心身ともにリソースが足りない…」と感じていました。
1.「人事評価を整えたほうがいいのでは」という悩み
社内から「評価制度をつくった方がいい」という声も上がっていました。一方でまだ会社として何を大事にすべきかも見えておらず、どこからどう進めればいいか悩んでいました。採用を全方位的に強化しようとしていたタイミングであり、かつ既存の目標管理制度が形骸化しつつある中で「採用と組織開発のバランスが本当に取れるのか」「みんなが忙しい状況で本当に運用ができるのか」とモヤモヤしていました。
2.「採用の出力を上げないといけないのでは」という悩み
この頃には採用に関与し始めており、注力すれば一定採用できる感触は持っていましたが、あまり工数を割けない状態でした。また、採用がスムーズに進んでいくほど、組織の人数が増え「組織運営がうまくいかなくなるリスクを抱えるのでは」という漠然とした危機感を持っていました。
加えて、私はコーポレート全般を管轄していたため、他の領域が気になり、意思決定が引きずられている感覚もありました。人事のアプローチは個人的に人・仲間・会社という3軸を大事にしています。「そこに注力できていない状態で人事制度をつくってよいのか?」という悩みがスピードを削いでいる状態であり「CHRO的な存在で人事全般のバランスをとってくれる人がいてくれたら…」と思っていました。
「どれも大事でどこから手をつければ?」外部の支援で見えた優先順位
I さん
スタートアップでは事業の急成長に伴い、メンバーが目の前にあることに追われやすくなります。加えて、構造的にミドルマネージャーが不足しがちで、メンバーのケアやマネジメントが行き届かない事態が起こります。そうすると「自分は貢献できているのか」「会社の向かっている方向と自分のやっていることはリンクしているのだろうか?」という気持ちが出てくることはよくあります。それを打破するためには採用も組織開発も両方重要です。
何か手を打たなければと思い、目標管理制度を導入しました。けれども、人事的な側面の検討が甘く結果として仕組みを入れただけとなり、非常にショックでした。一般的にも急成長で30人規模を見据えるタイミングでは、人事的なアプローチが必要な時期に差し掛かると言われていますが、その重みを痛感する出来事でした。
森数
導入した目標管理制度では社員のモチベーションや自己肯定感を高めるのが難しかったんですよね。
I さん
そうなんです。目標設定の仕方が社員のモチベーションに直結せず、運用工数が重かったこともあり、単に作業が増えただけになっていました。どのタスクもやるべきことだけれども、どれも大事に見えていて「何を重視すべきか」「どれを優先して取り組むべきか」に自信が持てなくなっていました。中途半端な打ち手となってしまい、第三者的な意見を心底求めていました。
森数
一人で仕組みや制度づくりに取り組んでいると「何のためにやっているんだっけ?」「これで正解なのかな…」とわからなくなってきますよね。誰かにフィードバックをしてもらうにも、相手が社内の人間だと難しいこともありますから。
そんな中、I さんはうまく私たちを頼ってくれてたなと思います。組織状況を詳しく教えていただいた結果、当初の相談内容にあった評価制度をつくるのではなく、足元を固める施策として、現状の課題を解決するための目標管理制度の運用と、採用に注力をした方が良いことが見え、組織アドバイザリーと採用支援のプロジェクトが開始しました。
決め手は組織と採用とスタートアップ経営に精通した信頼感
I さん
ユアパトさんにお願いした決め手は4つあります。
1.ワンストップで見てもらえるという安心感
採用も含めて組織課題についても包括的に対応してくれることが一つの決定打です。ちょうど導入を悩んでいた時期に、X(旧Twitter)で森数さんが「人事の仕事を切り分けることは難しく、横断的ディレクションが必要」とおっしゃっていて、この人であれば全般的に任せられるなんじゃないかと思ったことを覚えています。人事という仕事を面で見てもらえるユアパトさんには安心感がありました。
2.スタートアップでのスケール経験者
I さん
森数さん自身、スタートアップでのスケールを経験したことがあることも決め手となりました。スタートアップの目まぐるしい変化を感覚的にわかってくれていたので意思疎通もしやすく感じます。ミニマムで組織を良くする動きに伴走してもらえるのでとてもありがたいです。
僕たちが向き合うべきテーマは、人事や組織周りを整理することによって、事業にドライブをかけることであり、そのために、既存のメンバーがより一層活躍できるように組織をメンテナンスしながら採用を進めるフェーズだと感じていました。
W さん
他社さんのサービス説明も聞きましたが、まだ私たちのフェーズには早すぎるものだったのかと思います。ユアパトさんは寄り添って、組織の足元を固めるところから尽力していただいているので、私たちの状況にもフィットし、非常に助かっています。
3.最終的に内製化を目指すスタンス
採用を外部パートナーに任せると、ノウハウがたまらず僕らが自立して採用活動をしていけなくなる不安がありました。過去RPO会社(採用代行会社)を活用した際、サービスの継続、解約判断を意識したコミュニケーションを常に求められている感覚がありました。ユアパトさんは内製化をゴールに掲げていたことに安心感を持てました。内製化に向け、日々のコミュニケーションを通じて自社に採用のノウハウが蓄積され、採用力が高まる感覚を持てています。
4.採用は経営戦略という認識を持っている
I さん
採用をオペレーションではなく、経営戦略の一つとしてとらえていることもユアパトさんの魅力です。採用開始前に「本当に採用する必要がありますか?」と確認してくれるので、他の選択肢も視野に入れた戦略を考えられる点が、非常にありがたいです。
森数
社内メンバーのキャリアや組織状態を踏まえた組織づくりを考えると、採用が必ずしも正解とは限りませんからね。ですから、採用しつつ、目標管理制度をリバイバルしつつ、起こっている課題に都度解決しつつ…と全て同時並行でバランスを取っています。
組織全体を俯瞰した採用支援が生む高い成果とスピード感
I さん
組織戦略アドバイザリーをしてもらった結果、「今は採用に注力すべき」という気づきを得たことは非常に大きな収穫でした。また、森数さんが組織を俯瞰してフィードバックしてくれたことと、僕の考えに大きなズレがなく「自分の感覚は正しかった」と安心できたことは非常に意義があったと思います。自分の感覚に自信を持てたからこそ、評価制度づくりを安心して後回しにするという優先順位付けができました。自分でも整理できていない課題をそのまま相談できる安心感は抜群です。
採用に関しては本当に全てお任せできています。佐藤さんは人事だけの話に限らず、現場の社員や部長の話も聞き、調整した上で自律的に動いてくれます。組織全体の理解を深めた上で採用活動に着手してくれるからこそ、質の高いアクションや成果が出せているのかなと思います。
また、佐藤さんのホスピタリティの高さにも驚きました。RPOは利用したことがありますが、僕のカレンダーを見て自動的に調整してくれる人は初めてでした。こちらとしては1分でも1回でも工数を減らしたいと思っているので、伴走してもらえている感覚が持てていることに感動しました。
佐藤
採用支援を長年経験している中で、様々な現場の方や経営陣とやり取りしてきたので、いかに任せてもらえるか、やり取りや工数を減らせるかという観点を意識しながら動いています。
I さん
「こんなにも採用をお任せできるのか」と日々感じてます。気付いたら事業部と調整して内定まで至っていて、びっくりしたこともあります。社内でも「ユアパトさんに追加で依頼をしたら採用のスピードがもっと上がるのでは?」という声があがるほどです。
これまで、私は「量が求められる採用(スカウト大量送信など)」はRPOに依頼し、「質が求められる採用(重要ポジションなど)」は自社で対応するものだと考えていました。しかし、この考えは覆されました。現在では、ユアパトさんが重要ポジションの要件定義をはじめ、プロセスの整理までを含めて担当してくれており、非常に助かっています。
重要ポジションの場合、結果に対する不安から自らの手を放すのが怖くなってしまいます。けれども、ユアパトさんは組織を見据えた上で採用支援をしてくれるので、依頼することに恐怖を感じません。これまでに出会ったことのない、「普通ではない」採用支援をしてもらっている感覚です。
森数
通常のRPO会社は採用の一部を切り出し、サービスの範囲内で対応するのが一般的です。けれども、ユアパトは採用業務を切り出さず、私たちが会社の中に入り、その時必要な動きをするのでその違いかもしれません。私たちが自分たちのサービスを「採用代行」ではなく「採用支援」と呼ぶのもそういった理由からです。
組織と採用の両輪でのアプローチがもたらすシナジー
I さん
この規模は組織も採用も両輪で考える必要があります。お二人が連携してくださってるからこそ、現状が変わり始めているんだと思います。採用や組織開発それぞれから出てきた情報をもとに、ユアパトさんがより良い提案をしてくれるので相乗効果が大きいです。これは想定していなかった有難い誤算ですし、採用と組織開発を一体で回す必要性を改めて感じています。
森数
私と佐藤が連携し、役割分担をしたことで出力を上げられたのだと思います。採用支援で得た気づきや課題を、常に相談や共有してもっています。その情報をmederi様の社内向けのメッセージングや配布資料のネガティブチェックにも活かしています。
I さん
組織戦略アドバイザリーの観点で、抜け漏れの確認から受け取り手によってマイナスな表現になっていないかまでチェックしてもらえて、とても助かっています。そもそも自分たちも組織の一員で、客観視は難しいんですよね。
森数
社内同士だと前提が揃っているので、当事者だと気づきづらいんだと思います。また、ユアパトが支援をする時は必ず以下のポストに書いてあることを言語化した上で支援を始めるので、軸をブラさずに助言できることも強みだと思います。
採用支援の新たな風!人の温もりが感じられるユアパトのアプローチ
I さん
事前に期待していた以上の成果を出していただいており、本当に助かっています。「採用はむしろユアパトさんがいなければ何もできてなかったのでは?」と思うくらいです。採用という領域に留まらず、経営層と人事の間に立ち、調整してもらえてとても頼もしく感じています。少しずつ着実に組織基盤が整ってきている感覚があります。
W さん
社内の人間も「森数さんが言ってた」と言うと、それだけで信頼して動いてくれるので、意思疎通も取りやすくなったと感じています。また、ユアパトさんのサービスからは体温を感じます。私の持つ人事や採用支援のイメージは冷たく機械的なものでした。けれども、ユアパトさんはどうやったら幸せに働けるかを根本的に考えてくれていることがわかり、一緒に伴走してくれる温もりを感じています。
事業と組織の成長を促進し、ワンストップでの支援を継続
I さん
今後は「事業成長に直結」「メンバーのやりがい」「会社として大事にしたい価値観」の3つの要素が叶う評価システムをつくりたいです。30から50人規模の成長フェーズではこの3つのバランスが取れていないと歪みが出ると思うので。
森数
そうですね。今は社内の共通言語を揃えつつ、基準や認識合わせをしているので、それが浸透してきたら次のステージを目指していきましょう。
I さん
あとは連携しながら仲間集めを続けたいと思います。今後mederiをより良くするための人事的な側面をワンストップで支援いただきたいです。かつ、自社だとわからない別の視点のインサイトも教えてもらいたいです。
課題特定と解決策提案を求める経営層必見のサービス
以下の悩みを持つ経営者、CxO、管理本部部長クラスにユアパトさんのサービスをお勧めしたいです。
- 人に対する課題があるけれどもどうしたらいいかわからない
- 事業に集中したいが採用もしなければいけない
- ベンチャー企業特有の課題を先回りして解決したい
本質的なコンサルをしてもらえますし、そもそも客観視した意見をいただく機会はとても貴重だと思います。ぜひ一度相談してみてもらえるとよいのでは、と思っています。
まとめ
mederi様はユアパトに出会うことで、それまで重要なテーマだと思っていたことが、実は優先順位としては高くないことに気づきました。今あなたが課題に思っていることが、実はすぐに着手しなくてもよいテーマである可能性もあります。採用と組織の課題に頭を悩ませつつも時間や工数を割けず、優先順位付けに苦労している経営層の方は、相談内容が曖昧な状態だったとしても、お気兼ねなくご連絡ください。壁打ちスタイルでお話しませんか?