事業が急成長する中で、代表自らが採用や人事業務まで担っている──そんなスタートアップは少なくありません。しかし、目の前の業務に追われる日々のなかで、いつしか「このままでは回らない…」と限界を感じる瞬間が訪れます。
KUROFUNE株式会社(以下、KUROFUNE)も、まさにそのフェーズに直面していました。今回のインタビューでは、代表の倉片稜様とYour Patronumの佐藤美夏が、採用支援導入の背景から、プロセス整備・体制構築・実際の成果、そしてこれからの組織づくりに至るまでを振り返ります。
「採用は経営そのもの」──そう感じるからこそ手離れできずに悩んでいる経営者の方に読んでいただきたい、リアルな実践と変化の記録です。
外国人が日本で活躍しやすい土壌をつくるベンチャー
倉片様
KUROFUNEは、「日本を開国し、外国人も活躍できる社会へ」というビジョンのもと、2018年に設立したベンチャー企業です。現在は、外国人材の就業支援に特化した二つの事業を展開しています。
一つは、自社アプリ「KUROFUNE」を通じた多言語対応の求人紹介事業。8ヶ国・100以上の現地エージェントと連携し、日本で働きたい外国人材を幅広く支援しています。
もう一つは、特定技能ビザ保有者向けの支援事業。「KUROFUNE PASSPORT」アプリを活用し、法定支援や定着支援を効率化。外国人が安心して長く働ける環境づくりをサポートしています。
現在、国内外あわせて7つのエリアに拠点を展開し、事業の引き合いも順調に増えています。しかし、急成長を遂げる一方で、ベンチャーゆえに制度や仕組みの整備が追いついておらず、これまでは私が国内外すべての労務管理を担ってきました。
とはいえ、私は人事や労務の専門家ではありません。社員から「あれを整備してほしい」「ここは対応できないのか」と求められても、すぐに応えられない場面が多く、歯がゆい思いをすることも少なくありませんでした。社内外から信頼される組織を目指すうえで、「人」にまつわる体制づくりは急務であると痛感していました。
こうした状況を踏まえ、人事・労務の専門人材の採用が必要だと強く感じ、採用活動の強化に踏み切る決断をしました。
半信半疑から確信へ──「この人になら任せられる」と思えた理由
倉片様
ユアパトとの出会いは、VCからの紹介がきっかけでした。ただ、正直なところ当初は「採用支援って実際どうなんだろう?」と半信半疑。コンサルティングに近い業種に対しては、もともと費用対効果が見えにくいという印象があり、外部パートナーに依頼することにも少なからず抵抗がありました。さらに、森数さんご自身もキャリアが豊富な方だったので、「主張の強いタイプなのでは…」と、初めてお会いするまでは少し身構えていました。
ところが、いざ商談でお話ししてみると、その印象は一変。非常に柔らかく、丁寧に提案してくださる姿勢が印象的で、話していくうちに共通点も見つかり、「この人になら任せられるかもしれない」と自然に思える安心感がありました。
また、弊社の隣にある企業の代表が森数さんと一緒に仕事をした経験があり、高く評価していたこと。さらに、私たちのお取引先であるセイワホールディングス様からも厚い信頼を得ていたことが、最終的にユアパトへ依頼する決め手となりました。

「属人化」から「仕組み化」へ──採用を見える化したことで変わった打ち手と判断
倉片様
ユアパトの支援によって、まず大きく変わったのは「見える化」です。支援が始まる以前、採用活動は私ひとりで回しており、求人票は言語化されておらず、候補者管理のシートすらない状態。職種ごとの要件定義も明確とはいえませんでした。
そうした状況の中で、佐藤さんが要件定義やターゲット像(ペルソナ)を明文化し、求人票の整備まで一手に引き受けてくれました。もともと「こんな人がいいよね」といった漠然としたイメージしかなかったものが、具体的な言葉として整理されたことは、採用活動にとって非常に大きな一歩でした。まさにゼロからの立ち上げだったと思います。
また、ユアパトに依頼する業務を検討していく中で、業務の優先順位が明確になり、候補者情報の管理も徐々に体系化されていきました。こうした仕組みがあることで、取りこぼしが防げるのはもちろんのこと、「母集団が形成できているのか」「打ち手が有効なのか」といった点も可視化され、判断がしやすくなりました。
これまでであれば、「採用できるまで根気強く続けよう」と突き進んでしまっていたと思いますが、状況が見えるようになったからこそ、冷静に現実を捉え、柔軟に戦略を変えることができるようになった。この変化は非常に大きいと感じています。
発信の質を高めて成果に直結──外部連携が導いた“再現性ある採用”
倉片様
佐藤さんはエージェントとの連携にも非常に長けており、「エージェントに動いてもらうには、この情報が必要です」と、その都度的確な指示を出してくれました。そのおかげで、「今、何を外部に打ち出すべきか」が明確になり、発信する情報の質もどんどんブラッシュアップされていく実感がありました。
特に印象的だったのは、エージェント向け説明会の設計と開催です。私たちはそれまでWantedlyを中心に採用活動を行っており、エージェントとの取引はまったくのゼロ。どの会社が自社にマッチする人材を紹介してくれるのかも分からず、手探りの状態でした。そんな中、佐藤さんがエージェント候補の選定から、必要な情報の整理、そして説明会の開催までを一手にリードしてくれたのです。
実は私たち自身も外国人向けの人材紹介事業を展開しているため、「エージェントがどんな印象を持つかによって、紹介の質も量も大きく変わる」という感覚はよく理解しています。だからこそ、エージェントとの接点を丁寧に設計してもらえたことは、本当にありがたい経験でした。
こうした積み重ねによって、それまで私の頭の中だけにあった採用の進め方が、少しずつ佐藤さんへと引き継がれ、カタチになっていきました。採用活動全体が精度高く整理され、自社の魅力や情報がよりわかりやすく、効果的に外部へ伝わるようになったと感じています。
その結果として、佐藤さんが作成したWantedlyの求人原稿経由の応募から、2名(法人営業・人事部長)の内定が決まりました。採用が“偶然”ではなく“必然”で実現する──そんな確かな手応えを得ています。
「この人を逃したくない」──即断即決の採用に、安心を添えたプロのサポート
倉片様
人事部長との出会いは、本当にスピーディーでした。カジュアル面談で意気投合し、数日後には東京で実際に会い、その日のうちに内定を出したんです。「この人を逃したら絶対に後悔する」と直観が働いたからです。内定承諾の返事もすぐにいただけて、募集開始からわずか3〜4週間ほどで入社が決まりました。入社手続きのやり取りでも、佐藤さんに助けられました。
これまでは内定通知書や承諾書も私自身で用意しており、大きな問題はありませんでした。ただ、今回の内定者は、大手企業やスタートアップで人事を経験されてきた“その道のプロ”。より安心してご入社いただくためにも、佐藤さんに書類の内容を一度チェックしてもらうことにしました。専門的な目線で確認してもらえたことで、より納得感を持って入社いただけたと感じています。
こうした重要な局面で、すぐに相談できて、的確にサポートしてくれる存在がいること。それは、経営者にとって本当に心強いことだと実感しました。
「多様性を活かす組織へ」──外国人が活躍できるモデル企業を目指して
倉片様
現在は、人事部長・ユアパトの体制で、採用活動を進めています。人事部長が入社して1ヶ月ほど経ち、「代表がいなくても業務が回る」領域が確実に増えてきました。その結果として、少しずつですが確実に経営に必要な時間を確保できるようになった実感があります。
今後は、評価制度や福利厚生など、組織制度の設計にも本格的に取り組んでいく予定です。KUROFUNEは「外国人が働きやすく、暮らしやすい社会の実現」を掲げており、その理念をまず自社で体現することが重要だと考えています。
社員の過半数を外国籍メンバーが占める今、国籍や文化の違いを超えて、誰もが力を発揮できる環境づくりに注力し、「外国人が活躍できるロールモデル企業」を目指していきます。
佐藤
どんどん変化していくKUROFUNE様を、これからも柔軟に役割を変えながらサポートしていきたいです。
ユアパトの支援は、採用活動の立ち上げだけで終わるものではありません。体制が整ったあとのフェーズでも、企業の成長段階や組織課題に応じて、必要なテーマごとに“形を変えた支援”を継続的に提供しています。
たとえば、評価制度やオンボーディング、育成フローの設計など──次の打ち手を一緒に考えるパートナーとして、引き続き伴走していけたらと思っています。
経営に直結するからこそ──採用を「任せる覚悟」が組織の成長を後押しする
倉片様
採用は、間違いなく経営に直結する仕事です。だからこそ、「少しでも手放すのが怖い」と感じるのは自然なことだと思います。私自身も、重要な意思決定や候補者との対話など、経営の視点が必要な場面にはしっかり関与してきました。
ただ、代表が採用のすべてを担い続けていると、どうしても他の業務との兼ね合いで採用が後手に回り、結果として会社の成長を妨げてしまいます。
実際にユアパトと一緒に動いてみて感じたのは、「任せたからこそ、良い人に出会えた」「仕組みが整ったからこそ、次の打ち手に進めた」ということでした。
外部に任せるのは不安もあるかもしれませんが、迷っている経営者の方がいれば、ぜひ一度相談してみてほしいです。「任せてよかった」と思える瞬間が、きっと来ると思います。
まとめ
人に関わる基盤整備は、短期的な売上にはつながらないかもしれません。ですが、それに真摯に取り組むかどうかが、企業の中長期的な成長と持続可能性に大きく影響します。「任せてよかった」と心から言える瞬間が、経営者自身の視界を一段クリアにしてくれる──本記事が、そんな一歩を踏み出す勇気の後押しになれば幸いです。
ユアパトは、仕組み化を通じて自走できる採用体制を整え、企業の「人の課題」に中長期で寄り添います。もし、あなたの会社が「採用に時間が割けない」「仕組みがない」「人事がいない」といった状態であれば、まずはお気軽にご相談ください。