「応募が来ないから、WantedlyやYOUTRUSTを追加しよう」
「エージェントからの紹介が減ったから、もう3社契約しよう」

採用がうまくいかないとき、求人媒体やエージェントを増やす企業は少なくありません。新しいチャネルを使えば、これまで出会えなかった候補者と接点を持てる可能性があります。ただ、採用チャネルを増やすだけで、採用がうまくいくとは限りません。

応募が集まらないのか、応募はあっても選考に進まないのか、あるいは内定辞退が多いのか。原因によって打つべき対策は全く異なります。原因を特定しないままチャネルを増やすと、管理データと業務量ばかりが増大。どこにボトルネックがあるのかがかえって見えなくなってしまいます。

本記事では、チャネル追加で採用課題が見えにくくなる理由を整理します。そのうえで、自社に合った採用手法を見つけるための「選択と集中」の考え方を解説します。

焦りが生む投資の分散と、組織が陥る「3つの弊害」 

採用がうまくいかないと、「できることは全部やろう」と考えがちです。その結果、組織は以下の「3つの弊害」に陥ります。

① 見立てが割れる(データ混在と分析の難殺化)

複数の採用チャネルを並行して運用するとデータが混ざり、課題が見えづらくなります。

例えば、以下のような採用データがあったとします。

全体の合算データ:応募50➔面談13➔1次5➔最終2➔内定1➔承諾0
採用チャネルA:応募10➔面談8➔1次5
採用チャネルB:応募40➔面談5➔1次0

この状態で、合算データだけを見て「応募が足りないから、媒体を追加しよう」と判断するのはお勧めできません。まず取り組むべきなのは、応募数の多い採用チャネルBで、なぜ面談につながらないのかを特定することです。

原因は、求人票の内容やスカウト文面、ターゲット設定にあるのかもしれません。あるいは、媒体自体が自社に合っていない可能性もあります。一つずつ仮説を立てて検証することで、自社に合う採用チャネルや訴求方法についてノウハウが蓄積されていきます。

もし改善を試みても成果が出なければ「自社には合わないチャネル」と客観的に判断できます。そして、選考移行率が高いチャネルAへリソースを集中させる明確な根拠にもなります。

感覚や経験に頼った議論(「媒体が悪い」「面接官の問題だ」など)から脱却し、チャネルごとのデータに基づいた検証を行うことこそが、自社に最適な採用手法を見極める最短ルートです。

② 根本原因の特定が後回しになる(手段の目的化)

経営層も現場も「チャネルを増やしたから成果が出るだろう」という期待感を抱きます。その結果、既存チャネルの分析や課題特定といった優先すべき業務が後回しになります。

さらに、新規媒体の立ち上げや連絡業務に時間と労力を奪われます。その結果、求人原稿・面談プロセスの改善など、成果に直結する施策に手が回らなくなってしまいます。 

③ 候補者体験(CX)が悪化し、辞退率が上昇する

専任の人事が1名以下の企業では、日々の業務が常に逼迫しています。そこに新しい採用チャネルを追加すると、管理画面の確認やスカウト作成、各社への連絡など、オペレーションが一気に増加。人事が目の前の業務をこなすだけで手一杯になります。そして、最も重要な「候補者との接点」にしわ寄せが生まれます。

返信が遅れる。プロフィールを読み込めないまま面談に臨む。個別のアピールができなくなる。これらが重なると、コストをかけて集めた候補者が「大切にされていない」と感じて他社へ流出してしまいます。

チャネルを増やしたことで「候補者体験」が損なわれ、結果として採用成功から遠ざかるのです。

採用成功を導く「選択と集中」の3ステップ

では、複数の採用チャネルで成果につながらない状態から脱し、自社の勝ちパターンを作るには何から始めればよいのでしょうか。明日から取り組める、3つのステップをご紹介します。

ステップ①:採用チャネルごとの「役割」を明確にする

まずは、今契約している求人媒体やエージェントを書き出しましょう。「どの職種の・どのレイヤー(ジュニア/ミドル/ハイクラス)を採用するためのものか」を1行で定義してください。 知名度や過去の実績だけで、全職種・ポジションで使っている企業は少なくありません。

採用チャネルごとに担う役割を明確にすることで、「どの採用チャネルで、どの人材を獲得するのか」という戦略が見えるようになります。この役割整理が、その後の効果検証や改善を行うための土台になります。

「狙うべきターゲットの解像度が上がらない」「現場との目線合わせがうまくいかない」とお悩みの方は、こちらの採用要件の作り方も参考にしてください。 

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ステップ②:「定量データ」の定義を揃え、採用チャネルごとの選考移行率を可視化する

各媒体やエージェントで異なる「応募」「面談」「選考」の定義を自社基準で統一します。

(例:カジュアル面談は「選考前」、1次面接からを「選考内」とする、など)

そのうえで、データを「媒体別×職種別」に整理し、応募から内定までの選考移行率(歩留まり)を比較できるようにしましょう。ボトルネックがどこにあるのかが客観的に見えてきます。

採用チャネル管理シート(例)

ステップ③:「定性データ」を掛け合わせ、離脱原因を特定する

数値上の滞りが特定できたら、現場の面接官を巻き込みます。「なぜ辞退されたのか(または見送ったのか)」という定性データをヒアリングしましょう。

「定量(どこで詰まっているか)」に「定性(なぜ詰まっているか)」を掛け合わせます。そうすることで初めて、「ターゲット設定のズレ」なのか「面談での魅力付け不足」なのかの見極めが可能になり、正しい次の一手を決断できるようになります。

【30秒で自己診断】採用チャネルを増やすべor増やさないを決めるチェックリスト

【30秒で自己診断】採用チャネルを増やすべきか / 今ある採用チャネルを磨くべきかのチェックリスト
1課題をデータで特定できているか
2新規媒体、エージェントの導入目的と検証機関が明確か
3媒体とエージェントをやり切るリソースは確保できているか

【診断結果の判断基準】
1つでもチェックがつかない項目(NG)がある場合は、チャネルを追加する前に「プロセス全体の整理とデータ分析」を行ってください。既存チャネルの改善だけで採用成果が伸びる可能性が十分にあります。

導入事例:採用手段の最適化で採用成功を主導したKUROFUNE様のケース

KUROFUNE株式会社様は、外国人と企業のマッチングプラットフォームを展開する会社です。事業拡大に伴い、人事責任者(ハイクラス)から、営業、行政書士、登録支援事業責任者候補、さらには事務スタッフまで、多種多様なレイヤーの職種を同時に募集していました。

当然、すべての職種を一律の採用チャネルで集めることは不可能です。そこでユアパトは、職種ごとの特性に応じた「採用チャネルの役割分担」を徹底しました。 

  • ハイクラス層:自社への理解が深いエージェントを3〜5社に厳選して開拓
  • ミドル・メンバー層・事務職:幅広く母集団形成できる「engage」などの無料求人媒体を併用
  • 既存チャネルの刷新・改善:Wantedly等の求人原稿をブラッシュアップ

役割を分担させた結果 

リソースを適性に配分したことで業務過多に陥ることなく、各施策の精度が大幅に向上。結果として各職種でスムーズな採用が進み、Wantedly経由で最重要ポジションである「人事責任者」の採用に成功しました。

「今、どの職種の、どのレイヤーを狙うために、どの採用チャネルをどんな目的で掛け合わせるか」という設計図があるかどうかが、成否を分けます。

(参考:KUROFUNE株式会社様の導入事例インタビュー)

 ■あわせて読みたい(エージェントコミュニケーション編)

※事例のようにエージェントを厳選し、自社の紹介数を最大化する方法を解説しています。 

社内で採用チャネルの最適化・データ一元化を進める際ぶつかる「3つの課題」 

ここまでお伝えしたい施策は、採用力を高める上で効果的です。しかし、これらを進めようとすると、多くの企業が同じ壁に直面します。

  • 「データの集計と分析」に時間を割きづらい:日々の選考対応やスカウト送信に追われ、まとまった時間を確保できません。各媒体からバラバラのデータを抽出し、一つのシートにまとめる作業自体が高いハードルとなります。
  • 現場の面接官から定性データを継続的に集める仕組みが定着しない:「辞退理由をヒアリングしてほしい」と依頼しても、通常業務の忙しさから入力漏れが起きやすく、社内を巻き込んだ仕組み化には根気がいります。
  • 経営層と人事の間で、客観的な「目線合わせ」が難航する:「今はチャネル追加より既存改善が最優先」と分かっていても、社内全体が納得できるデータや判断軸を示せないと合意形成は簡単ではありません。

日々の採用活動を続けながら、これらすべてを社内リソースだけで設計し巻き込んでいくのは容易ではありません。

ユアパトは「採用チームの一員」として分析から伴走します

「自分たちだけで状況を整理し、仕組み化までするのは大変だ」。そう感じる企業様のために、私たちがチームの一員となり、以下のステップで支援します。

  • 採用チャネル(求人媒体・エージェント)ごとの役割整理と最適化
  • 職種別・採用チャネル別の選考移行率(歩留まり)の可視化と一元管理体制の構築
  • 経営層・現場・人事が同じデータを見て意思決定できる運用の仕組み化

属人化しがちな採用活動を、誰もが同じ判断基準で改善できる状態へ。貴社にフィットする「再現性のある型」をつくっていきます。

「何からデータとして集めるべきか分からない」 「まずは自社の採用チャネルの役割定義を一緒に作ってほしい」 という方は、まずは無料の壁打ちから現在の採用状況を整理してみませんか?