「評価の時期になると、なぜか優秀な社員の離職が増える」 「制度を細かく作ったのに、社内の不満が一向に減らない」
こうした悩みを抱える経営者や人事責任者は少なくありません。実は、評価制度が機能しない原因の一つは「制度の不備」そのものよりも、現場で起きている「評価ハック(制度の裏をかいた駆け引き)」が関係していることもあります。
評価制度の在り方について、評価制度をハックするメンバーとマネージャーという2つの立場にフォーカスを当て、ゲストの株式会社Momentor代表のさかいふうたさんと「評価制度ハックの真実」と「人間が評価する本当の意味」について徹底討論しました。
※この記事は弊社森数がVoicyでお話した#31 評価制度ハックについて語る回(ゲスト:さかいふうたさん)を前編と後編の2本立てで記事にしたものです。気になる方はVoicyも是非聞いててみてください!
プロフィール

評価面談でハックが起きる理由
森数:評価の時期って、転職を検討する方が増えますよね。本来は成長を支援するための制度です。それなのに、なぜ裏目に出てしまうのでしょうか。制度の問題なのか制度設計の問題なのか。さかいさんはどうお考えですか?
さかいさん:一言で言えば「コミュニケーション不全」だと思います。評価面談って嫌じゃないすか。評価される側もこの項目は謙虚に△と評価しておいて、マネージャーに〇に補正してもらうとか。全部◎付けて下方修正されても良いように戦略を立てたり。被評価者側と評価者とのライアーゲームみたいで。だからといって、評価制度を厳密に設計すればいいというわけではありません。
あるメンバーが直属の上司以外のマネージャーに「うちの会社の評価制度は良くないですよね?」と言ったとします。この発言の本音は、直属の上司の評価の仕方や評価内容に納得してないだけです。直接的に不満を言うと、直属の上司と関係がぎこちなくなる。だから評価制度のせいにしてる。基本的には上司が自分のことを見てくれていないことに腹を立てていると思った方がいいです。
森数:制度ではなく、評価の仕方に納得感がないってことなんですね。
さかいさん:そうです。そもそも、評価制度で全て納得感を持たせることはできません。コンピテンシーで、5項目の評価をつけようとか、厳密性を持たせることは無理なので。
森数:なるほど。私も初めてマネージャーになった時、面談でメンバーに「この目標は頑張ったところで評価されにくいからやりたくない」と言われて、驚きました。
人間が人間を評価する意味
さかい:今までで一番むかついた評価って何ですか?
森数:「君の貢献は認めるし感謝している。けれども、評価制度外のことだから評価としてはなしね」と言われた時ですね。評価制度に決まってないから評価できないってことあるんだと心がざわつきました。目標以外のことを頑張ったけど杓子定規に評価が決まる現象ありますよね。
さかいさん:目標設計の時に組み込まれてなかったから評価しません、って言われるとヤキモキするし、それなら採点ロボットでも導入してくれよ、って気持ちになりますよね。
本来マネージャーがやるべきことは、評価項目にも載っていない、他の人も気づいてないし、もっと言うと本人すら気づいてないかもしれないけれど、こういう事業貢献してくれたよねってとこを見つけ出すことだと思います。それを拾うから現場マネージャーが人間である意味があって、そうじゃないなら採点ロボットやAI導入してくれって思います。
メンバーのファインプレーは普段から見ておくべき
森数:評価項目にない社員の働きぶりを見つけて評価することは、とても難しいと思います。さかいさんはどう思いますか?
さかいさん:難易度が高いのです。でも、ファインプレーを見つけることは普段から絶対にやるべきです。例えば、会議である社員の発言で流れ変わった場合、それはその人の才能です。マネージャーの役割は、人の才能を発見し事業成果へ繋げることです。1on1で「あの発言、良かったよ」と伝えるだけで「自分を見てくれている」という安心感が生まれます。さらに「その強みでこんな挑戦もできるのでは」と提示できれば、才能と事業戦略を合致させやすくなります。評価面談の直前に慌てて良いところを探すようでは遅すぎます。
森数:直近だけのファインプレーに引っ張られたり、わかりやすいハロー効果(※)で評価が決まることもあります。社員の成長を促し、事業を伸ばすための評価制度であるはず。時期的に評価の必要があるから、その時期だけメンバーのこと見る。メンバーもその時期だけ頑張りますってなると制度として成り立ちませんね。
※ハロー効果:目立つ特徴に引きずられ、全体の評価が歪められる現象。
さかいさん:成長支援ツールとしての評価制度というのが本来のあるべき姿ですよね。
森数:同感です。ただ、評価と賃金が紐づくからこそ、ハックするメンバーが現れます。実は「ハックしているのはマネージャー側も同じではないか」という懸念もあります。後編では、評価者側のハックという問題に深く迫ります。
まとめ
今回は「評価制度をハックするメンバー」と、評価面談の本質についてお話ししました。制度を形骸化させないためには、日常的な観察と「成長支援」の視点が欠かせません。後編では、さらに踏み込んで「マネージャー側の評価ハック」という問題に焦点を当てます。
・評価面談や1on1が形式化して機能していない
・制度はあるものの、社員の納得感や成長に繋がっていない
このような悩みを抱える経営者・人事責任者様は、ぜひユアパトへご相談ください。貴社の運用課題に寄り添い、自走する組織づくりを伴走支援いたします。




