組織の変化が大きいフェーズでも、採用を止めることはできない。そんな状況の中で、株式会社CARTA HOLDINGS(以下、CARTA HD)様は、自社の採用の在り方そのものを問い直す局面に立っていました。

主力事業強化の方針により、採用計画は期首目標の2倍と期中に大きく膨らみ、従来のやり方では回らない状態に。CARTA HDの中途採用チームは、短期間で採用を一気に強化することが求められたのです。

CARTA HD様は、2年前からユアパトの採用コーチングを通じて、採用を「再現性のある仕組み」として構築する取り組みを進めてきました。そしてこのタイミングで、採用コーチングに加え、実務面でも伴走する採用支援をスタート。

本記事では、HR本部 副本部長/全社育成責任者の小林直道様、HRチーム サブリーダーの横田智美様に、変革期における採用推進と改善のプロセスをうかがいました。Your Patronum リクルーター 高橋明日香との伴走の軌跡をお届けします。

採用コーチングについてはこちらの事例記事をご覧ください。

採用を止められない変革期──既存体制では回らない危機感

小林様
2025年7月にグループ会社のCARTA MARKETING FIRMとCARTA COMMUNICATIONSが統合し、新会社CARTA ZEROが誕生。約800名規模の広告事業体となり、現在も大規模な組織拡大の計画が控えています。組織としては、まさに第二の変革期に入っている感覚でした。

統合後の競争力を高めていくには、ハイクラス人材だけでなく、将来を担う人材の採用が不可欠だと判断し、ポテンシャル採用にも本格的に取り組むことになったのです。

結果として、期首は80名を想定していた採用計画が、期中には最大で180名規模を見据えるまでに増加。前年度の採用実績は60人強だったので、その実績と比べると、ほぼ3倍です。この状況を前に、「既存の体制ではもう回らない」という強い危機感を持ち、中途採用チームの体制強化が急務となりました。

そのため、変革期の意思決定を進化させる採用パートナーの存在を求めていたのです。ユアパトには2年前から採用コーチングで継続的に支援してもらっており、高いレベルでコミットしてくれていました。加えて、当社への解像度が非常に高いことを実感していました。

ユアパトなら採用を科学してスピーディーに、かつ着実に成果を出してくれる──そんな期待感が依頼の決め手となりました。

正解を押し付けないから、組織が動いた──多層組織の「判断」を前に進める採用支援

小林様
CARTA ZEROの中途採用の選考は全体で3回あり、責任者・局長・部長など、階層の異なるステークホルダーが関わっていました。こうした選考フロー全体の中で役割や機能を体系的に整理できておらず、誰がどのフェーズで何を判断しているのかが曖昧になりやすく、採用に対する考え方や重視するポイントにも、少なからずズレが生じていたと思います。

そうした中で高橋さんは、いきなり「こうすべきです」と正解を提示するのではなく、まず各選考官が選考で大事にしてる価値観・判断軸を丁寧に聞き取ってくれました。そのうえで、「それなら、こういう選択肢もありますよね」と、こちらの考えを起点にしながら整理していく。その姿勢がとても印象的でした。

横田様
これまでは、最終面接官(責任者)の考えを軸に進めるケースが多かったのですが、今回は一次・二次・最終それぞれの選考官が「何を見て判断しているのか」を言語化し、共通の採用基準を持つことができるようになりました。

この整理ができたことで、採用の精度が明らかに上がった感覚があります。実際、他の採用担当からも「高橋さんの担当ポジションは、言語化できていて判断軸がわかりやすいよね」と声が上がるほどです。

小林様
こうした形で、各選考官と一緒に判断の土台を揃えていく取り組みは、これまでのCARTA HDにはありませんでした。 判断が属人的になりがちな前提を踏まえたうえで、組織としてどう判断していくのかを設計できたことは、採用を前に進めるうえで一つの節目になったと感じています。

採用市場と社内をつなぐ——歩留まり分析から始まった判断基準のアップデート

横田様

とはいえ、最初からポテンシャル採用がうまく回っていたわけではありませんでした。歩留まり改善のために高橋さんと一緒にデータの振り返りをしていた時のことです。面接基準を設計していたものの、選考の現場では評価の前提や着目点が揃っておらず、その結果として見送り判断にばらつきが生じていることがわかりました。この気づきをきっかけに、採用活動は大きく動き出します。

その背景にあったのは、過去に同じような規模感や採用方針のもとでポテンシャル採用に取り組み、成果につながっていた”経験”でした。当時の選考体験が、無意識のうちに各選考官の判断の前提に残っていた部分もあったのだと思います。

一方で、当時と現在とでは、採用市場や会社のフェーズは大きく異なります。だからこそ、過去のやり方をそのまま踏襲するのではなく、今の状況に合わせて捉え直し、整理し直していく必要がありました。今回の取り組みは、評価の前提をチームとしてあらためてそろえていくためのプロセスでもありました。

そこで改めて、「このポジションで本当に見るべき資質は何か」を整理。要件のMustとWantを切り分け、どの面接フェーズで何を見るのかを明確にし、質問例や評価の仕方まで具体化していきました。

小林様
そもそもポテンシャル採用という言葉自体、抽象度の高いワードであることもあり、人によって捉え方がまったく違っていました。ビジネス基礎力が高い有望な人を指す人もいれば、ただ単に年齢が若い人や第二新卒に近い意味合いで使う人もいます。また、これまでは能力よりも志望動機や意欲を重視する人もいました。

そうした認知のズレに対しても、高橋さんはエージェントからの情報や市場の変化を示しながら、「今の市場では、こう見た方がよさそうですね」と選考官が今の採用市場の体感を得ることに寄り添ってくれました。

過去の見ていたポイントを整理しつつも、今の環境に合わせて判断基準に選考官が納得感を持てるよう伴走してもらえたことが、結果的に採用の前進につながったのだと思います。

「わかる」から「できる」へ──チームに“採用の型”がインストールされた瞬間

小林様
中途採用チームとしては、以前から「個人ではなく、チームで採用数を達成する」ことを方針として伝えてきました。中途採用は属人的な動きになりやすいので、実際に個々の採用担当者の知見と努力をもって改善を重ねていきました。

一方で、スピード感を求められる中で、「具体的にどう動けば成果につながるのか」という動き方までは、チーム全体で揃えきれていませんでした。立ち止まる余裕はなく、走りながら整えている状態だったと言えます。

そうした中で、高橋さんが初期の段階から「現場にはこう整理して伝えました」「こういう前提を共有したうえで提案しました」と進め方をオープンに共有してくれたことは、チームが次の段階に進むうえで重要なきっかけになったと思います。

横田様
特に助けられたのが、エージェント対応や母集団形成の部分です。高橋さんが、「この観点でエージェントと話しています」「エージェント向けにこんな内容でメルマガ送付してます」と、ご自身の動きを中途採用チームへかなり具体的に共有してくれたんです。

それによって、エージェントへの働きかけのイメージがチーム内に広がっていきました。もともと中途採用チームには、チームで助け合おう・ナレッジを共有しようという意識はありました。そこに、高橋さんが具体的なナレッジをシェアしてくれたことで、「こうすればチームで回るんだ」という具体像が見え、行動が変わっていったのだと思います。

結果として、「わかる」状態から、実際に「できる」状態へ成長していった。採用の進め方が“型”として根づき始めたことが、このフェーズでの一番大きな変化でした。

年間93名採用を下支えし、採用カルチャーの醸成をリード

小林様

CARTA HDトータルで93名、前年度の採用実績である64名から約1.5倍の社員を採用することができました。採用市場が厳しい中で、数字としても一定の成果は出せたと思います。ただ、それ以上に大きかったのは、採用に対する考え方そのものが変わったことです。

数値をもとに状況を捉え、候補者一人ひとりのストーリーを前提に意思決定を促す。そうした考え方が、チームの共通認識として根付き始めました。これは一時的な施策ではなく、採用の進め方そのものがアップデートされた感覚に近いと思っています。

26年に関しては採用計画としては100名を大きく超える形の計画を引いており、新たなメンバーの加入も含めてチームをより強化していくフェーズが続きます。高橋さんにはチームビルディングの観点でも、引き続き伴走してもらいたいですし、変化する採用市場に合わせた取り組みを一緒に考えてもらえればと思います。

採用で人数を採ることは大切です。でも、それ以上に採用を通じて会社を進化させたい会社にこそ、ユアパトは合うと感じています。事業戦略や採用数、入社後のキャリアなど、変数が多く簡単には型化できない環境にある会社にとって、頼りになるパートナーとして支えてくれると思います。

まとめ

ユアパトが大切にしているのは、「つくる、つたわる、かわる」というプロセスです。要件や判断軸をつくり、現場や関係者につたわり、それぞれの意思決定や行動がかわっていく。CARTA HD様の採用支援では、この行動変容がHRチームや選考官へと広がっていきました。

私たちは、採用実務を単に代行する存在ではありません。企業の中に入り、設計し、対話し、振り返りと改善を重ねながら、採用を”一時的な成果”ではなく、”組織の力として育てていくパートナー”です。

事業や組織が変化する中でも、採用を止めず、前に進み続けたい。そんな課題感をお持ちの企業にとって、本事例が一つの参考になれば幸いです。

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