「一人目人事(※)を採用したのに、採用が進まない」そんな状況に直面している経営者・採用責任者の方に向けた記事です。
採用がうまくいかないとき、 「人事の能力が足りないのでは?」 「スカウト数を増やすべきでは?」 といった“個人の能力”や“施策”に目が向きがちです。でも、本当の原因は人事個人ではなく、“採用の進め方”や“判断基準”にある場合があります。
本記事では、一人目人事採用後に採用が停滞する理由と、どこを変えれば採用が動き出すのかをご説明します。
(※)一人目人事:それまで経営や他メンバーが兼任していた人事業務を専任として担うために入社した最初の人事担当者
一人目人事が入社後に直面する壁とは?採用が進まない原因の全体像
一人目人事が入社した際、すでに採用は動いているものの、必要な情報や進め方が整理されていないケースが多く見られます。
例えば、
- 求人票や採用活動のデータが可視化されていない
- 複数のメンバーが採用を兼任していて、情報が分散している
- 面接官ごとに評価の観点が異なる
といった状態です。仮にデータが残っていても、意思決定の背景までは整理されていないことがほとんどです。
- なぜこのポジションはこのスキルを重視するのか
- なぜこの候補者は見送られたのか
- どの要件は緩和でき、どの要件は譲れないのか
このような判断基準が共有されないまま採用を進めることで、一人目人事はキャッチアップに時間を取られるようになります。
一人目人事で採用が進まない3つの構造的な理由
もちろん、人事の能力や組織との相性が影響することもありますが、多くの場合はそれ以前の組織構造に原因があります。
① 判断基準のズレを認識しにくい
10〜30人規模の成長企業は、少人数で密に連携していた状態から、徐々にチームに分かれ、マネージャーが配置されます。このフェーズでは、各チーム毎に最適な判断軸を持ち始めますが、それが改めて言語化される場面は多くありません。これまで「会話で補えていた共通認識」が、組織の拡大によって共有の機会が減るからです。
例えば、経営は将来性や事業インパクトを重視し、現場は即戦力性や業務適応を重視する。どちらの合理的ですが、互いの重視するポイントが共有されていなければ評価は分かれます。
ここで問題なのは、判断基準にズレがあること自体ではありません。 ズレていることに気づかないまま、採用が進んでしまう点です。後から入社した一人目人事は、経緯や各チームの背景を十分に把握できていません。そのため、経営とチームが「同じ基準で見ている」と思い、調整役に入ることになります。そうなると、候補者への評価が割れた際も「なぜ判断がズレているのか」を整理しづらくなります。
② 優先順位が言語化されていない
採用では、複数の判断軸が常に並びます。スキルかカルチャーか、採用スピードを重視するかスキルを持つ人を待つかといったトレードオフは避けられません。人事不在の会社では、経営や現場が状況に応じて判断するため、優先順位が明文化されないことが多いように見受けます。
その結果、関係者それぞれは判断しているつもりでも、後から入社した一人目人事には優先順位が見えません。「どの条件を優先すべきか」が分からず、候補者ごとに迷いが生まれやすくなります。
③ 意思決定の責任の所在が曖昧
採用では最終的な意思決定者が必要です。一人目人事のフェーズではその分担が整理されていないことがあります。
例えば、
・経営は最終判断者だが、常に関与できない
・現場は評価するが、決定権は持たない
・人事は全体を見るが、決めきれない
このように役割は存在していても、「誰が・どのタイミングで決めるか」が曖昧だと、判断が持ち越されたり、関与者によって結論が変わります。こうなると、意思決定の基準が安定せず、判断の拠り所が持てない状態になります。そのため、一人目人事が自ら意思決定を前に進めることが難しくなり、調整に時間を割くことになります。

“一人目人事の壁”を放置することで起こるリスク
採用の進め方や判断基準の目線合わせをしないままでいると、採用は「動いているようで進まない」状態に陥ります。
具体的には、
- 面接はしているが、なかなか決まらない
- 評価が揃わず、意思決定に時間を取られる
- 人事が調整に追われ、本来の業務が後回しになる
といった事象が起きやすくなります。この問題の厄介な点は、大きな失敗として表れにくいことです。採用自体は動いているため、本質的な問題が見えづらくなります。
また、選考経験は積み重なっていくため、一見するとノウハウが蓄積されているようにも見えます。しかし、評価基準や判断理由が共通認識として整理されていない場合、組織としての判断精度は安定しません。
すると、候補者ごとに重視するポイントが微妙に変わり、面接官同士で毎回すり合わせが必要になります。意思決定にも時間がかかるようになり、
- 良い候補者ほど他社に流れる
- 面接負荷や調整コストが増え、現場が疲弊する
といった影響が出てきます。
こうした状態が続くと、採用の課題は「人事個人の力量」の問題として捉えられがちです。しかし実際には、人事個人ではなく「採用の判断基準」や「進め方」が組織として整理されていないケースも少なくないのです。
一人目人事で採用が停滞するときの対処法
”一人目人事の壁”への有効な打ち手は新しい施策を増やすことではなく、判断軸を整理することです。
① 採用の判断基準(要件と言葉の背景)を明確にする
はじめにすることは、経営・現場・人事の間で採用の判断基準を明確にすることです。ここで重要なのは、”要件で使われる言葉”と”要件が求められている背景”の両方を揃えることです。「すでに採用要件は定義されている」場合でも、実際には面接で判断できる状態に機能していないことがあるからです。
例えば「主体性がある」という言葉も、立場によって捉え方が変わります。経営は「自ら考えて動ける力」を指し、現場は「任された業務を進められること」と捉えていることがあります。このように言葉の解釈が揃っていないと、同じ候補者でも評価が分かれます。さらに、その要件を重視する理由が共有されていない場合、判断はブレやすくなります。
- 要件に使われる言葉の解釈を具体化する
- 要件が求められる背景を言語化する
この2点が揃うことで、誰が関わっても判断の方向性が揃い、採用の進み方が安定します。
※採用要件の詳しい整理方法はこちら

② 一人目人事の役割と意思決定の分担を整理する
次に重要なのが、一人目人事に期待する役割と、意思決定の分担を明確にすることです。任せているつもりでも、「どこまで人事が決めてよいか」が曖昧な場合もあるからです。
この状態では、一人目人事は調整役として動くことが多くなり、意思決定が都度止まります。そのため、経営・現場・人事それぞれについて、「誰が・どのタイミングで・何を決めるのか」を整理することが重要です。 裁量が明確になることで、判断の迷いが減り、採用のスピードと一貫性が保たれます。
③ 採用を「一人目人事の仕事」から「チームで進める体制」に変える
最後に重要なのが、一人目人事を配置しても、採用を人事だけの仕事にしないことです。
採用のプロセスや判断が人事一人の中に閉じていると、
- どこで選考が止まっているのか
- 何を基準に判断しているのか
- 次に何を改善すべきか
が関係者から見えず、採用はブラックボックス化します。
この状態を防ぐために必要なのが、採用の見える化(可視化)です。選考の歩留まりや、意思決定が止まっている工程を共有。数値や事実をもとに状況を把握できる状態をつくります。
可視化されることで、採用は「人事が頑張るもの」から「チームで改善できるもの」へと変わります。その結果、経営や現場も関与しやすくなり、意思決定の質とスピードが上がります。
一人目人事が機能するかどうかは、人事のスキルだけによりません。チームで採用活動にあたれるか状態になっているかどうかに大きく左右されます。
採用の目線合わせが難しい理由
採用が停滞している時に有効な手段は、採用関係者の目線を合わせることです。ただ、この整理は実は難易度が高く、社内だけで進めると行き詰まることもあります。理由のひとつが、「何を言ったか」でなく「誰が言ったか」によって受け取り方が変わる点にあります。
例えば同じ内容でも、人事が伝えると「現場を理解していないのではないか」と受け取られ、現場が主張すると「自分たちのチームに寄っている考え方ではないか」と見られる。それぞれの立場に合理性があるからこそ、意見の内容ではなく、発信者の立場によって受け取り手の解釈に影響を及ぼします。
この状態では、合意形成が進みにくく議論に多くの時間が要されてしまいます。その点、第三者が入ることで、「社内の誰が言ったか」というバイアスを外せるため、情報を整理しやすくなります。実際に、第三者が入ることで採用の進み方が変わった事例をご紹介します。
採用のプロが第三者として関わる価値
ユアパトでは、採用施策の実行だけでなく、「誰を・なぜ採用するのか」といった“採用の意思決定基盤”を整えるところから支援しています。採用実務だけでなく、経営・現場・人事それぞれの認識を整理しながら、組織として意思決定できる状態づくりまで伴走していることが特徴です。
チームで採用する体制を築く「採用支援」
一人目人事を中心に採用は回っていたものの、成果につながりにくい状態が続いていました。そこでユアパトは、施策の追加ではなく、採用の判断基準の整理から着手しました。KPI設計と歩留まりの可視化により、どこで判断が止まっているのかを特定し、判断基準と優先順位を言語化。採用は個人に依存するものから、チームで意思決定できる状態へと変わっていきました。

採用担当者の“採用力”を引き上げる「採用コーチング」
ハイクラス人材採用を全社として進める方針に転換。そんな中、ハイクラス人材の採用経験がない採用担当者は苦戦していました。ユアパトは採用実務を代行するのではなく、採用担当者へのメンタリングを実施。市場観点や判断の考え方を共有しながら、マネージャーのように伴走しました。採用担当者自身が成長することで、エージェント連携や候補者対応の質が向上。そして、成果へと繋がっていきました。

まとめ
一人目人事を採用したのに採用が進まない。そんな時は人事個人ではなく、採用の進め方や判断基準が明文化されていないことが原因かもしれません。
「一人目人事を採用したのにうまくいかない」
「採用が進まない」
と感じたときは、採用要件や意思決定の分担、進め方の整理から見直すことが重要です。
社内だけで整理が難しい場合は、第三者の参入で改善につながることもあります。ユアパトでは、「どこで止まっているのか」「何から整えるべきか」を言語化していきます。まずは一緒に現状を整理していませんか?
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