前編では、株式会社セイワホールディングス(以下、セイワHD)での人事制度、採用サイト、採用ピッチ資料、採用動画作成のプロジェクトについてご紹介しました。後編では、社内広報立ち上げプロジェクトについて人事総務本部課長 加藤 亜実さん、経営企画本部 戸塚 優さん、そして、Your Patronum(ユアパト)代表の森数 美保と手塚 ちひろにインタビュー形式でお伝えしていきます。

経営に近い視点を学ぶ場としての社内広報!中核人材育成の新たなステージ

セイワHDは、確かな技術や設備、特許などの強みがあるにも関わらず、後継者がいないこと等で継続が難しい企業などの譲受を行います。また独自のセイワプラットフォームという機能を通じて、その会社のポテンシャルを最大限発揮すること、グループ間のつながりを通したシナジーの追求を行っております。

組織の文化も仕組みも異なる会社をグループ会社に招き入れ、目線を合わせることはとても難易度が高く、向かっている方向と各社の取組みはリンクしているはずにもかかわらず、日々の繋がりが持ちにくく分断されがちでした。

そこで、仕事の意義や目的を見出しやすい状況をつくり、全員がセイワHDグループの一員であるという意識を育てるために社内広報の立ち上げプロジェクトが始まりました。最終的にはセイワスタンダード(セイワだからこそ出せるクオリティ)の土台をつくることを目標としています。

加えて、このプロジェクトには裏テーマが設けられています。それは、次世代の中核人材を人事として育成することです。今回このプロジェクトに参加している加藤さんと戸塚さんは人事のキャリアに興味があり、セイワの今後をリードして欲しいと期待される人材です。ユアパトは半年で社内広報の立ち上げをし、プロジェクトを通じて二人を人事として育成することになりました。

~代表取締役 野見山 勇大さんからのコメント~

このプロジェクトの目的の一つは、森数さんにビジネスのロールモデルになってもらい、キャリアの考え方やリーダーシップの取り方を加藤さんと戸塚さんに学んでもらうことでした。人事制度プロジェクトの定例ミーティングに加藤さんも参加しているのですが、どうしても私と森数さんがメインで話を進めてしまい、加藤さんがその場で学ぶことはできるものの、育成の観点では物足りないと感じていました。そこで、森数さんと今後の中核メンバーが推進するプロジェクトを立ち上げ、育成してもらうことを思いつきました。

広報は経営に非常に近い役割を担っており、全社の方向性を確認し、メッセージをどう伝えるかを考える大切な仕事です。社内広報は全社的に必要なものでしたし、加藤さんと戸塚さんの力を発揮してもらえるプロジェクトだと思い、二人をメンバーにアサインしました。

社内広報プロジェクトへの期待感

戸塚さん

私は経営企画部に所属していて、グループ会社の営業や経理、財務、経営管理の仕事をしています。元々、人事のキャリアに興味があったのでこのプロジェクトに参加できることがとても嬉しかったです。

加藤さん

私たちの事業は社会貢献性がある素晴らしいものだと感じているものの、なかなか魅力が伝わりきっていない現状など、採用活動を通じて色々な広報面での課題が見えてきています。もっと打ち出していかないといけないと思っているものの、なかなか手がつけられずにいました。そのため、社内広報を立ち上げる話を聞いた際は「ついにこの時がきた」と思い、奮い立ちました。ただ、グループ会社の社員を巻き込んで進めるプロジェクトなので、巻き込む以上は必ず応えていかなくてはならないという意気込みも持っていました。まずは社内広報のプロジェクトですが、このプロジェクトを通じてよりグル-プの理解を深め採用広報へもつなげることができるチャンスだと感じました。

中核人材の主体性を育むユアパトの支援

森数

ユアパトでは、バイアスに囚われて物事の優先順位を誤らないための対策として、インセプションデッキ(※)を用いてプロジェクト開始時に目的をセットし、物事の決め方を明文化しています。

※インセプションデッキ:プロダクト開発を始める前に、プロジェクトのミッションやビジョン、状況や背景についての共通認識を作りあげるためのツール(問い)。

セイワホールディングス様-ユアパト導入事例

※インセプションデッキについて詳しく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。

インセプションデッキをつくり、ベースを整えるところはユアパトが主導し行いました。その後は、加藤さんと戸塚さんが自分達で考え、アウトプットをするサイクルを回せるようになるためのサポートをしました。

二人には定例ミーティングでファシリテーションを担当してもらい、ユアパトはその振り返りを行い、論点を整理した上でアドバイスをしました。また、次のミーティングまでに取り組むべき課題も提示していました。加えて、プロジェクトの最初に、二人がどのような人事担当者になりたいか、何を学びたいかをヒアリングし、その目標に向けて成長できるようサポートしました。

戸塚さん

ユアパトとの定例ミーティングまでの間に、私と加藤さんとのミーティングを設けてまず二人で課題に向き合い、それでも解決できない部分をユアパトに相談していました。

手塚

加藤さんも戸塚さんも、毎回の定例ミーティングに積極的に参加してくれて、こちらが何かいう前に自分たちで行動を起こしている姿は本当に素晴らしかったです。森数さんが毎回、視座の高い課題を出し、それに向き合う姿に感動を覚えるほどでした。

二人の人事としての成長を見守るために、KPT法(※)を取り入れ、振り返りをサポートするようにもしていました。さらに、人事の観点で毎回新しいテーマを選定し、必要な情報を提供するようにしていました。

KPT法:振り返りのフレームワークの一つです。プロジェクトやタスクを対象に「Keep(成果が出ていて継続すること)」「Problem(解決すべき課題)」を洗い出し分析した上で、改善策としての「Try(次に取り組むこと)」を検討するものです。

経営方針からの進化:カジュアルな交流を促す広報誌の意義

どのような形で広報誌をリリースするかを検討した結果、『SEIWAコネクト』という名前の紙の広報誌をつくりました。製造現場の職人さんにも見てもらえるように回覧板や掲示板に貼って、誰でも手軽に見られる形を取りました。

実は、2〜3年前からグループ全体で経営方針を話す場を設けたり、グループとしてのシナジーを出す動きが始まっていました。ただ、そういった場ではグループを知るにも表層的で壁を感じていました。そこで、もっとカジュアルにセイワグループの社員同士が繋がれるような広報誌を作ろうという思いを込めて、『SEIWAコネクト』という名前にしました。

セイワホールディングス様-ユアパト導入事例

想像以上の反響!シナジー創出への期待と今後の展望

加藤さん

細目にアンケートに目を通していますが、こんなにもグル-プの皆さんが自社以外の会社に興味を持ち「知りたい」と思ってくれていることに驚きました。とは言え、リアクションが返ってくる会社もあれば、まだ浸透しきっていない会社もあります。今後は、自分たちからもっと積極的に反応を引き出すための工夫が必要だと感じています。これが次の課題です。

戸塚さん

「他のグループについて知れて良かった」という声もあって、反響を知れることも嬉しいですし、モチベーションにも繋がっています。どのグループ会社をどう繋げるとシナジーが生み出せそうかという見通しや、今後の課題が見えてきたのも良かったです。このプロジェクトは、長く続けていく価値があると感じています。さらに、セイワグループとしての共通項も整理でき、セイワスタンダードの基盤も整ってきたので、私たちのプロジェクトの一段階目のゴールが見えてきました。

森数

前提として、セイワHD様は社内広報を立ち上げる難易度が他の会社より格段に高いんですよね。グループ会社の社員同士の面識もなかったり、互いを知らない状態からスタートするので、反応が全く得られない可能性もあると思っていました。にもかかわらず、想定よりも反響があり、参加型コンテンツにも参加してもらえていたので、非常に素晴らしい成果だと思います。

戸塚さん

そう言っていただけて嬉しい限りです。ゆくゆくは、二人で社内広報誌を運営していくのですが、グループ会社の方からも「社内広報のプロジェクトをやりたいです」って声が出たら面白いなと思いますし、そう思ってもらえる社内広報誌にしていきたいと思っています。

視座を高め、効果的なプロジェクト推進方法を習得

加藤さん

つい目の前にある業務の達成に意識がいきがちでしたが、森数さん達から「先を見据えつつも、目の前のこと一つひとつに向き合うことが大事」だということを学ぶことができました。その結果、プロジェクトを進める中で「どこへ向かっているのか」という点に立ち返ることができ、判断がブレることなく取り組んでいけるベースをつくってこれたと思います。

戸塚さん

社内広報誌を作るという作業に加えて、その過程での考え方を学べたことが大きかったです。採用や人事の枠にとらわれず、経営者の視点からのアドバイスをもらえたことで、今自分が取り組んでいる業務にも直結していて、非常にありがたく感じています。短期的な視点だけでなく、長期的な視点やより大局的な視点を持つ力が鍛えられました。

手塚

森数さんが、お二人が人事としてだけではなく、ビジネスパーソンとして今後どうありたいかをヒアリングして、社内広報のプロジェクト成功だけではなく、二人のキャリア支援も含めてより豊かな時間になるようにしていて、実際に学びの場となっていたことを聞けてとても嬉しいです。通常の組織コンサルは目の前の課題に向き合いますが、それに加えて、屋台骨となる人材を中に入って育てるという価値発揮はユアパトならではだと思います。

まとめ

社内広報立ち上げのプロジェクトを経て、逞しく成長を果たされた加藤さん、戸塚さん。このプロジェクトを通じて、ユアパトはお客様の組織や事業を強化するという使命を果たし、その独自の強みを発揮した事例となりました。解決したい組織課題や育成したい社員がいる場合、ぜひユアパトにご相談ください。