今回ご紹介するユアパトの採用支援は、一風異なるスタイルです。通常、採用支援というと、採用実務(スカウト、スクリーニング、日程調整、エージェントコミュニケーション)を行うイメージをもつ人が多いと思います。株式会社CARTA HOLDINGS様(以下、CARTA HD)とのお取り組みは、採用担当者にマンツーマンで伴走する採用コーチングです。

具体的にどのような支援をしているかを、CARTA HDの執行役員 小椋祐二様とHR本部 副本部長 全社育成責任者 小林直道様、そして、採用コーチを担うYour Patronum(ユアパト)の森に話を聞いてきました。ユアパト導入の背景から具体的なサポート内容、そして採用成功までのプロセスをお届けします。

The Evolution Factory!企業と業界の進化をリードする企業

小林様:

CARTA HDは、2019年にネット広告を軸とする株式会社サイバー・コミュニケーションズと高い事業開発力を持つ株式会社VOYAGE GROUPが経営統合し、誕生した企業です。主に「デジタルマーケティング事業」「メディア&コマース事業」「HR事業」の3つの領域で、広告やインターネットを基盤とした事業開発を展開しています。

「人の想いで、人と未来の可能性を、拓いていく。」をパーパスに掲げ、未解決の課題に挑戦し、産業の発展に貢献。さらに、社員の人生をより豊かにするため、進化への投資を続けています。

採用の三重苦に陥る日々~課題はHRの基盤構築~

小林様:

当社の採用体制は少し特殊です。私たちCARTA HDのHRチームが、20社ほどあるグループ会社の採用活動をグループ会社のHRBPと連携し、主導しています。以前は若年者を中心とした採用をしていましたが、2024年から即戦力採用(ミドル〜ハイクラス)へと方針転換があったことにより、採用活動の難易度が高まっていました。そのため、HRチームは以下の壁に当たりました。

1.即戦力採用のナレッジ不足

採用方針の転換によって、よりテクニカルなスキルが求められるようになりました。しかし、即戦力採用に関する知見を持つ中途採用マネージャーが退職していたため、適切な指導、フィードバックができる人材がおらず、適応できずにいました。

2.データ管理と連携不足

採用担当者1人につき複数のグループ会社を担当する体制を取っています。各社異なる事業展開をしているため、ターゲット業界・扱う職種、利用媒体やエージェントが分散。計数管理やフローも異なるため、HRチーム内でデータやノウハウの蓄積・共有ができていませんでした。

結果、メンバー間での相談や共有もしづらく、起きている事象の課題特定と適切なフィードバックを得られない環境となっていました。

3.中途採用マネージャー採用の停滞

自分達の上司となる即戦力クラスの採用をするにあたって、適切な行動と十分なアトラクトができていませんでした。中途採用マネージャーを採用し、上記1と2の課題を解決したかったのですが、まずその一歩目が踏み出せていなかったのです。

HRの体制整備ができないことにより、全社でドライブをかけたい即戦力採用を推進できなくなっていたのです。この状況を打破するために、外部のパートナーに依頼しようと思いました。

求めるサービスは採用代行ではなく採用活動の実践指南

小椋様:

通常の採用支援は、採用チームの基盤体制があってこそ、ノウハウや再現性ある採用の型をインストールできると思います。けれど、我々にはその基盤がなかったのです。そのため、HRチームの基盤を整えることに焦点を当てたソリューションを求めていました。

小林様:

具体的には、即戦力採用の実践指南を通じて採用担当者を育成してくれることを期待していました。また、並行して組織に必要な仕組みや運用の導入も支援してくれることを重視していました。

キャリア支援から採用支援へ!信頼がつないだ新たな支援のカタチ

小林様:

以前、私がユアパト代表の森数美保さんに転職活動を支援してもらったことがあり、相談をしたことがこの取り組みのきっかけです。森数さんは、ロジックとパッションのバランスが抜群で、かつスピード感ある支援をしてくれたことが強く印象に残っていました。

あのスピード感やバランス感覚はきっと、弊社の大きな力になってくれると思い、連絡をしました。

データドリブン採用への転換!数値で課題を可視化する仕組みづくり

森:
支援開始時に着手したことは、データの整備です。現状を分析する数値がなかったため、数値を取得し、可視化できる体制づくりを進言しました。

小林様:
当時、採用管理システムには候補者の面接所感や評価データが網羅的に入力されておらず、スカウト送付も決定率や歩留まりを逆算せずに実施していました。その結果、選考プロセスのどこに課題があるのかを特定できないまま、採用活動を進めていたのです。

こうした背景を踏まえ、まずは適切に課題を設定できる体制を整備するようアドバイスをいただきました。この助言をきっかけに、全採用担当者のKPIを可視化し、採用プロセスの仕組み化を進める動きへと発展しました。具体的には、採用成功に必要な面接・面談数をデイリーやウィークリーで換算し、必要なアクションを即座に把握・実行できる環境を整えようとしています。まさに「採用を科学する」ことを目の当たりにしたアップデートでした。

見極めからアトラクトへ!採用コーチングにより変化した選考スタンス

森:

プロジェクト開始当時、支援対象者である高松様も努力をし現状を打破しようとしていました。けれども、具体的な課題がわからず、努力の方向に戸惑いを感じていました。採用成功に至れるかが運頼みになっていたところもあり、以下のアクションを取りました。

1.現状把握と振り返り

まず、候補者一人ひとりの進捗状況を整理し、実態を正確に管理することから始めました。現在も、毎日30分のミーティングを実施し、すべての候補者について次のアクションまで決定する仕組みを継続しています。この取り組みにより、歩留まりの課題が解消されていきました。

また、候補者の進捗がスムーズになることで、新たに母集団形成の強化が必要となりました。そのため、ダイレクトリクルーティングやエージェントコミュニケーションなど、どの施策に注力すべきか選択肢を提示し、状況に応じた適切な打ち手を実行するサポートを行いました。

2.内省を促すアクション

支援開始当初、高松様自身がハイクラス人材に対する解像度を十分に持っていないことに気付いていませんでした。そのため、気付きを促し、即戦力人材に適した採用スタンスの習得を支援しました。

小林様:
採用する側は、どうしても「求める人材要件とその見極め」に意識が向きすぎる傾向があります。支援の初期に、「採りたい人物像は明確だが、果たしてそのキャリア志向の人がこの求人内容に魅力を感じるだろうか?」と問いかけられたことがあり、その言葉にはっとさせられました。

当初、高松は「候補者を見極める」という選考スタンスが強かったのですが、現在ではアトラクト(魅力付け)への意識が高まり、より戦略的な採用活動ができるようになってきました。その成長を実感できることを嬉しく思います。

凡事徹底したプロセス改善により約半年で3名採用

小椋様:

労務およびHRBPの合計3名を採用することができました。

小林様:

採用に繋がった理由の一つは、森さんが選考過程で課題を指摘し、具体的な改善策を提案してくれたことだと思います。例えば、オファーを提示していたにもかかわらず、なかなか承諾を得られないポジションがありました。森さんから「要因分析が必要ではないか」との指摘を受け、調査を進めたところ、選考プロセスに改善の余地があることや、より効果的なアトラクト(魅力付け)が求められていることが明らかになりました。

小椋様:

そこで、各ポジションの選考進捗や結果を分析し、改善策として選考フローの見直しとエージェントとのコミュニケーション方法の変更を実施しました。

1.カジュアル面談のアトラクト強化

これまでは、自社が求める人材を見極める視点が強かったのですが、候補者に対する魅力付けを重視するスタンスへと改めました。その新たな試みの一つとして、最初に候補者の方と接点を持つHRBPのカジュアル面談は、HR本部 副本部長の小林が担当するフローに変更し、弊社やポジションの魅力を伝える様な形で運用することにしました。
こうした見直しを進めるうえで、数値やデータを活用すると振り返りや対策が取りやすいと実感しています。

② エージェントコミュニケーションの改善

候補者の状況を正確に把握し、適切な対応を取るためには、エージェントとの連携強化が不可欠でした。そのため、候補者を紹介してもらいやすくする施策として、高松にエージェントとのコミュニケーション方法や適切な対応姿勢をインストールしてもらっています。

また、選考官ともミーティングで都度目線を合わせるようにもしています。

採用戦略をアップデート!CARTA HDが挑むデータ活用の未来

小林様:
この1月より、中途採用チームを新たな体制にアップデートしました。森さんと共に培った「数値に基づき採用プロセスを見直すカルチャー」を、他のグループ会社の採用活動にも広める取り組みを進めています。

小椋様:
将来的には、選考評価の結果をデータ化し、入社後のデータと突き合わせていけるようにしたいと考えています。データを蓄積することで、入社時の評価とその後のギャップを特定したり、面接官ごとの傾向を把握したりすることが可能になります。

これらの入社後のデータと連携させることで、採用の質を向上させるための改善ができると考えています。現在は、そのための第一歩を踏み出した段階と捉えています。

ユアパトと築く未来!中途採用の考え方を組織全体に浸透させる

小林様:
CARTA HDの経営理念に共感し、パーパス実現に向けて共に未来を創るメンバーこそが、事業成長の根幹を担うと考えています。そうした人材を採用し、「ここで活躍したい」と思える組織をつくることが、会社としての使命です。経営を進化させるためには、人的資本の整備と拡張が欠かせない要素だと認識しています。

現在は高松を中心にご支援いただいていますが、今後はチーム全体に向けて、中途採用の考え方や市況感、エージェントや候補者との関係性について、引き続きプロの視点からアドバイスをお願いしたいと考えています。

森さんには、市場の動向や専門的な視点から俯瞰的な意見をいただき、ときには現在の進め方そのものに対して疑問を投げかけてもらっています。そのうえで、解決策をともに検討し、立場や視点を柔軟に行き来しながら伴走してくださる姿勢は、信頼に値します。今後も頼りにしています。

まとめ

採用コーチングを通じて、CARTA HDは採用活動に大きな変革を遂げました。「データをもとに採用プロセスを推進する仕組みをつくりたい」「採用担当者を育成し、チーム全体の採用力を高めたい」という強い採用チームづくりをしたい方はユアパトまでご相談ください。

後編では、コーチング対象の採用担当 高松様にお話を聞いていきます。

現場メンバー目線での採用コーチングにご興味ある方は以下の画像をクリック↓↓↓

ユアパトが推進するデータドリブン採用